短編

□偶然
1ページ/6ページ


機能低下した脚を引きずりながら夜道を歩く。
内心で、ともすれば動かなくなる足に毒づきながらまだ続く道を歩く。

満月に少し足りない月が私の真上に来ている。
そろそろ本格的に足が危ないと思い、道を背にするように近くの木に寄りかかりそのまま一気にへたりこんだ。


あまり見たくなかった脚部が見えてしまう。

鋼鉄製の大腿から下は、所々抉れて中身の配線が数本外に飛び出している。
更に何本かは途中で無惨にも切れていて、もっと言えば冷却用の水が漏れ出している。


そっと手で脚に触れてみると、このまま目玉焼きが作れるんじゃないかと思える程熱されていた。
生身の接続部分が痛いのも頷ける。これじゃ大分深い火傷になっていることだろう。

幾らか溶けているような場所も見つかり、これはもう全交換しないと使い物にならない。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ