短編
□悼痛
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バカじゃないだろうか?
全てが終わってから出てきたのはそんな言葉。
バカなんじゃないですか?
どこまでも相手を否定する言葉。どこまでも冷たい言葉のはずなのに、
どこか空虚でやりきれない。
いつの間にか思い切り握っていた手が悲鳴を上げる。
ギチギチと音は無いが感覚で感じている音が聞こえる。
目の前には、珍しく自分が本当に友だと思えた者の体。
体だけ。
もう彼は目を開けない声を出さない動かない。
何を考えているのかわからない顔をする事も、
己の家族をうざったらしく感じる程自慢してくる事もない。