長編

□第七話
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よく考えれば彼女のように女の一人旅は格好の標的になるのだ。
だが人間の場合だとしても、己の腕に自信が無ければ一人旅はしない。


数で圧すという発想は確かに悪くはない。
しかしそれでも人には不可能な事をしてのける魔人には、数と同時に質も揃えなければあまり意味は無いのだ。


「っせえな!命が大事ならとっとと金目の物と武器一式置いていけ!」


「残念だがそれは出来ない相談だ。……こちらからも言わせてもらおうか。命が惜しくば私の前から去れ。」


常套句だが、目的を明言するその言葉にやはり面倒臭そうにして額を軽く押さえながら逆に彼女が脅す。

命が惜しければという脅し文句の割に要求は大分差がある。
しかし相手からしてみれば馬鹿にされているのも同然。
武装はしているものの女である。やたら顔立ちは整っているのでその武装も形だけに思えなくもない。
そしてアリエラの背にはどこもかしこも真っ白な槍。見るからに高価そうな。


「…あぁ!?ふざけんじゃねぇぞ姉ちゃん!金以外にも色々失くしてえってのか?」


睨んで脅す彼女にほんの少し怯みながらも、どちらが優位にあるのかを知らしめるように彼の背後にいる仲間を示す。
 
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