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□迷って愛して
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だったら尚更、なぜ仕事ばかりを優先するのかと思ったが、官兵衛はそういう人だ。仕事に生きている人だから仕方ないのかもしれない。秀吉様のためではなく、自分のためと言うのだろう。

だが、返ってきた言葉は予想と反したものだった。

「秀吉様が今ある仕事がすべて終わったら、卿と二人で休暇をとるといいと言ってくださったのだ。丸一日、卿と過ごせたら私は嬉しい。」

「え、そんなこと秀吉様が!?うわーどうしよう、今、俺すごく嬉しいんだけど!!」

「私も卿とこうして歩くのもいいと思うが、迷っているというと話は別だ。穏やかではないからな。」

「それに仕事が終われば一日中、官兵衛殿と一緒にいられるんだもんね…!帰ろう!」

「私たちは迷っているのだ。帰りたくとも帰れまい。」

帰ろうと意気込んだのはいいが、脱出できたわけでもなく、むしろ今までは官兵衛と二人きりで喜んでいた半兵衛だが、話を聞いた後では自分も時間を一秒足りとも無駄にできないと焦っていた。

「官兵衛殿、腕貸して!腕に俺のこと乗せてよ!そしたら出口探せるでしょ」

「いいだろう。気をつけろよ、半兵衛」

半兵衛は腕の上から出口を探し、無事に森の外に出られた。

「よかった〜俺たちの愛って最強だね!これって二人の愛で乗り切った困難ってやつだよねっ!越後のあの人たちに自慢してやりたいな〜」

「迷ったのは愛に惑わされてというところか」

「え、官兵衛殿もう一回言って!つまりそれって俺のせいって言いたいんでしょ!?」

「気にするな、なんでもない。もう夕暮れだ、帰るぞ」

「帰って仕事しなくっちゃね!」

「卿がそんなこと言うなんて、明日は大雪じゃないか?」

軽口を叩きながら、二人は城に帰っていった。二人が迷っていた時に、仕事が追加で増やされたことはまだ知るよしもなく。

まあ、俺が頑張ればすぐに終わるけどね。俺には官兵衛殿の愛があるから!
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