★シン★

□赤い糸B
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青空がどこまでも晴れ渡る空の下、今日は朝から
トワくんと甲板掃除


デッキブラシ片手に端から端へ走り回り行き交う2人

トワ
「やっぱり2人だと早いなぁ
もう終わりだもん」


息切れひとつせず余裕のトワと


サラ
「はぁ…やっと終わった
でもこれ…結構、重労働だね」


肩で息を切らしながら 手すりに寄りかかりサラは一息ついていた


シン
「おい、 それで終わったと思うな
お前は あと 航海室もだ」

航海室の窓からシンが早く来いと言わんばかりの顔で覗いている


サラは、休む暇なく航海室へと足を運んだ


サラ
「…えっと どこを 掃除したらいいですか?」


シン
「いちいち 言わないとわからないのか?」


わからないから言ってるのに相変わらずの意地悪っぷり………
じゃ窓拭きからやろうかな

サラが窓拭きをしだすとシンは椅子に腰掛け机の上で地図を広げた


シンがいる近くの窓を拭きながら ふと 机に目がいった


いつもシンが大事そうに持ち歩いているか、ポケットの中に収まっている懐中時計が無造作に 机に置かれていた


近くでよくみると文字盤以外はガラス張りになっていて、中の機械の動きが丸見えで、アンティークな作りになっている


半開きになっている蓋には今にも走り出しそうな高貴な馬が刻まれていて、色は綺麗な金色で眩しいくらいに輝いていた


いつも銃を丹念に磨いた後に必ず懐中時計も磨いているから、新品のような輝きを保っていた
サラは一度手に取ってじっくり見てみたいと思うほど気に入っていたのだ

シン
「誰がサボっていいと言った?
懐中時計がそんなに珍しいのか?」


地図から目を離さずに話しかけられた


サラ
「はいっ 眩しいくらいに光っていて、いつも綺麗だなって思ってました」


シン
「…………これはオフクロの形見だ」


サラ
「お母さんの形見……
病気でなくなったんですか?」


シン
「…………詮索するなと言ったはずだろ?」


サラ
「……ごっごめんなさい」

シン
「明日 街に着く
そこが お前の住む街になるといいな……

今日はそれが終わったら
もう部屋に戻っていい」


そうだった…私 知らない街に住んで赤い糸の人を探すんだった


シンさん……怒らせちゃったみたい


私は、シンさんにとって
今でも邪魔な存在なのかな
少しは慣れたと思っていたのは、私だけだったんだ…
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