★シン★

□赤い糸B
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次の日 船の燃料を入れる為に一番近い港に昼過ぎに着いた


リュウガ
「いいかっお前ら
夕方にはここを出発する
それまでちゃんと戻っとけよ
今から………自由行動だ
わかったらとっとと解散だ!」


シン
「行くぞ サラ」


サラ
「えっ 行くって どこへですか?」


シン
「決まってんだろ この街がお前の住むとこになるか見極めに行くんだ」


サラ
「えっ………私の…?」


シン
「行くのか行かねぇのか
ハッキリしろ?」


サラ
「いっ行きます」


嬉しい……シンさんが見極めてくれるなんて…
心配してくれてるのかな?

シン
「ここは夜になると女が1人で出歩くのはかなり危険らしい
って お前 せっかく聞いてきてやってるのに 何で 懐中時計ばっかり 見てんだよ
これで時計屋何軒目だよ」

サラ
「だって これ シンさんのには、輝き負けるけど凄い綺麗です」


ガラスに張りつきそうな勢いで金色で蝶の絵が刻まれている、懐中時計を見入っている


いきなり腕を掴まれシンさんと向かい合った
サラの手の中にリボンがかかった箱を手渡された


シン
「買わないと先に進まねぇから……大事にしろよ」


サラ
「えっ!! 買って貰うなんて、いいんですか…?」

シン
「申し訳ないと思うんだったら、よそ見せず ちゃんとついてこい!」


サラ
「はっはい
ありがとうございます」


突然のシンからのプレゼント!
嬉しくて しょうがなくて
地に足がついてないかのような足どりで、そのあとの買い出しは、シンに着いていくのがやっとだった

サラはあまりそのあとのことを覚えていないほど浮かれていた


買い出しを終えて船に戻るとシンは航海室へ サラは部屋へと入った


この街は治安があまり良くないから住むのはやめたほうがいいと教えてくれて…
その上プレゼントまでくれるなんて…

シンさんは言葉は乱暴でもホントは優しい人……


幸せな気持ちに浸りながらもらった蝶の懐中時計を
いつまでも眺めていた……




航海室ではシンが、次の行き先の確認をしようと机いっぱいに海図を広げた……

ガシャン


何かが 落ちる鈍い音がした
見ると 中身の部品が飛び出した大事な懐中時計だった


「チッ」


慌てて飛び出た部品も拾い集め机に置いた
前にも落とした衝撃で中身が出て そういう作業が得意分野なトワに直してもらったことがあった


リュウガ
「シン 話がある
ちょっと来てくれないか」

シン
「はい…今行きます」


懐中時計は トワに後で見てもらう為そのまま机に置いたまま、船長室へと向かった


しばらくすると航海室にサラが入ってきた


懐中時計のお礼に航海室を綺麗にしようと思い、サラは心を込めて一生懸命掃除をし出した


最後の仕上げに机を拭いている時、勢い余ってシンの懐中時計を落としてしまった


床の上に中身の部品が飛び出しているのを見てサラは血の気が引いた


シンさんのお母さんの形見……
出発まで まだ時間あるよね?
急いで部品も拾って慌てて部屋を出た


慌てて出かけようとしてるサラの姿を見て後ろから声がした


ソウシ
「サラちゃん どこ行くんだい?」


サラ
「シンさんの大事な懐中時計…
壊しちゃったんです
今から時計屋さんにいってきます」


ソウシ
「夕方には 戻るんだよ」

その声は 聞こえているのか、サラは足早に 去っていった





夕方になり 外は 激しい雨が降り始めた
船長室からシンが出てきて
部屋へ戻るとそこにサラの姿はなかった


シンは、部屋を出て航海室へ行く途中にソウシと廊下で会った


シン
「ドクター サラ 見ませんでした?」


ソウシ
「おやっ サラちゃんまだ帰って来てないのか?さっき、シンの懐中時計を壊したとかで…時計屋に慌てて行ったきりだよ」


ソウシの話が終わる前にシンは、走り出し 船から飛び出していた



……あのバカ あれは 俺が………
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