★シン★

□赤い糸D最終回
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さっきから人が通るのがやっとの道ばかり
もしかして……これも調べてあるんじゃ


シンさんの力強い手に引かれ 温かいぬくもりだけを感じて ただ ひたすら走っていた


私の正体が バレたら
もう シリウスにはいられない……



……シンさんが……好き



ずっと胸にしまってた想い
言えないから…せめて一緒にいるだけでも……

それも、もう……出来ないなんて


シンさんの手に引かれ
無事にシリウスに帰ることが できた


無言のまま 部屋に連れていかれ 静かな部屋に ドアの閉まる音だけが 響いた

ベッドの端に座らされ
私の前に シンさんが 立ちはだかる


サラ
「…シンさん…どうして」

シン
「お前の質問より 俺の質問が先だ!
俺は 留守番してろと言ったはずだ
なぜ 船から離れた?」


サラ
「…………………」


サラは鞄からきれいなリボンがついてる青い箱を取り出した


サラ
「……ソウシさんにこの街はお菓子が美味しいと聞いて本当に美味しかったから
迷惑ばかりかけてるシンさんの笑顔が見たくて…
自分で選んでプレゼントしたかったんです
………ごめんなさい」


堪らず涙が溢れた


シン
「笑顔か………
お前が 捕まったら、逆に消えるだろ………
ったく、どんだけ俺に迷惑かければ気が済むんだ
サラ様は?」


サラ
「シンさん……どうして 何も聞かないの?」


シンは引き出しから1枚の紙を出し、ベッドの上におもむろに置いた


サラ
「!!!」


それは 無くしたと思っていた 海軍の父との写真……


サラ
「……………なんで?
シン…さんが…これを?」

震える手で 写真を手に取る


シン
「お前が 来た日 航海室で拾った…
返そうと思ったが 俺らが海賊だと聞いて お前は 気を失いかけた……
訳ありそうなお前に あの時、写真を返せば 身の危険を感じて自ら 海に身を投げ出すんじゃねぇかと思ってな

時期がくるまで 俺が保管してたって訳だ」


サラ
「このこと みんなは?」

シン
「ベラベラ喋る性分じゃない
わかったとしても お前に危害は 誰も 加えねぇよ」

サラ
「あと……」


シン
「何で海軍に追われてるかっだろ?

サラの父親 ダニエル総督が、決めた レオナルドとの結婚……
それが嫌で逃げて今に至る
違うか?」


サラ
「どうして それを…?」

シン
「俺は 海賊だ
情報収集など 朝飯前だ」

サラ
「そこまで 知ってたなんて……
シンさんが 写真を持っていてくれたお陰で その事を忘れて 今日まで 楽しく過ごしてきたけど……」


シン
「けど……なんだ?」


サラ
「そこまで 知られて みんなを 今まで 騙してこの船に居座って……
もうここにはいられない」

シン
「戻るのか?」


サラ
「みんなの敵であるあの人に、また いつ会うかわからない……
みんなに迷惑かけるその前に戻ろうと思って……」


シン
「たとえ あいつらが 大勢やって来ても 俺らは屈しない!
それでも あいつんとこに戻るのか?」


サラの潤んだ瞳から 大粒の涙が幾度も幾度も
頬をつたって…こぼれた


サラ
「はい… 私がここにいることで 大好きなみんなを危険にさらしたくない…」

そう言うと来た時と同じ鞄に荷物を入れ始めた


シンは ふと窓を見た


シン
「お前から 行かなくてもよくなったみたいだ
来い!」


急に サラの腕を掴むと 勢いよく部屋を飛び出した


走って 連れてかれた場所は甲板だった


よくみると 目の前には
レオナルドが 立っていた
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