黄と青の彩色 本
□第7投
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『ほら、できたぞ二人とも』
まだリビングでギャーギャー言っている二人に声をかければ、大輝は真っ先にやってきて席について食べ始めた。
「いただくっス!」
『どーぞ』
いただきますとか他人から久しぶりに聞いたな。大輝言わないし。
「う、うまいっス!!」
『そりゃよかった』
自分の分を食べながら黄瀬に返事をする。流石にオレは大輝達みたいな量は食べられないが。
「ごっそさん」
「ご馳走様っス」
『早ッ!!(ちゃんと噛んでんのか…?)』
二人ともオレの量の軽く2倍はあるのに…。何でオレより早く食べ終わるんだ!?
「あー、食った食った」
「…あー、青峰っちが羨ましいっス」
「あ?」
「毎日こんな美味しい料理が食べられるなんて…羨ましい限りっスよ」
「そーかよ」
美雨が食べ終わるのを待ち、皿を持ってキッチンに向かう。皿洗いは昔からオレの役目だ。
「つーか、青峰っちが皿洗いするなんて夢にも思わなかったっス」
「オレが洗ってちゃわりーかよ」
一々ムカつくことをいうヤツだ。
「つーかよ、何で美雨をモデルにした?」
「……笑わないっスか?」
「あ?答えによるな」
「……なら言わないっス」
「あぁ?……まあいい。お前の考えてることぐれぇ分かるしよ」
「…バカのくせにスか?」
……黄瀬ぇ。
「何言ってんだ。美雨に毎日勉強教えてもらってっからオレはもうバカじゃねぇぞ」
「え」
「アイツ頭もいいからな。入学直後のテストも(中の)上だぜ?」
肝心なところは言ってやらねぇ。
「あ、青峰っち…酷いっス!!仲間だと思ってたのに!!」
「残念だったな」
『何の話をしてんだよ…』
オレらが皿洗いをしている間、風呂に入っていた美雨が出てきた。いつものスウェット姿だ。
「美雨!!」
『ん?』
「今度勉強教えてくださいっス!!」
『それ前にも言ってたよな…。じゃあテスト前にな』
濡れている髪を適当に拭うと、思いついたかのように黄瀬に向き直る。
『涼太、いつ帰るんだ?』
「ん?…んー…そうっスね、もう帰るっス」
『そうか』
「もうこんな時間だしね」
指差された時計は午後10:35を指していた。
「ご飯美味しかったっス!!」
『ありがと。作ったかいがある』
「じゃあまた!!」
玄関まで大輝と見送りし、出ていく涼太に手を振る。
「あー…、ツカレタ」
『何で大輝が疲れんの』
隣で伸びをする大輝を風呂場に追いやり、自分は明日の準備をする。
『弁当作らなきゃなー…』
「一日練か?」
『うお!?早!!ちゃんと洗ってんのか?』
「洗ってるっつーの!!」
『んで、大輝は弁当いるのか?』
「いるな。練習ある」
『分かった』
じゃあなーといってリビングから出ていく大輝に『手伝ってくんねーのか』と呟いた。