黄と青の彩色 本

□第7投
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『……あ゛――――ッ!』



とりあえずひと段落した撮影。休憩用の机の上に突っ伏しながらため息を吐く。



「初めてにしちゃいい出来だな」



雅さんが隣にやってきて頭をワシャワシャ撫でる。ヤメロ。



「そうかい?ワシには顔ひきつってたように見えたんやけど」


『黙れ似非関西人』


「似非ってなんや!」


『そのまんま。……ってかさ、凪』


「何や」


『お前に弟とかいる?』



机から顔を離し、目の前に座っている凪を見る。雅さんはいつの間にか消えていた。



「うーん。弟はいないんやけど…従弟ならいるで?」


『名前』


「翔一」


『…やっぱりな』



似てると思った。従弟のくせして。



「何や、知ってるん?」


『オレの双子の兄貴のチームのキャプテン』


「ややこしいなぁ…」



頭に右手を持っていき、ガシガシとかく。



「というかお前双子やったんか」


『わりぃか』


「何も言うとらんやろ」


『あっそ』


「…じゃあ、お前の兄貴は桐皇学園にいるん?」


『まぁな。家東京だし』


「わざわざ神奈川までかよっつるんか」


『まぁな。通ってるっつっても海常まで三駅しか離れてねぇし。あんまかわんねぇよ』


「そうかい」



あはは…と軽く笑う凪。



『笑うな』


「なんで?」


『従弟のほう思い出す。笑うなしゃべるな』


「理不尽やないか!」



向こうからオレの名前を呼ぶ声がする。もうそろそろ撮影が再開されるのだろう。



『とりあえず』



はぁ、とため息をもう一度こぼしながら立ち上がる。



『止めろ』


「ホンマにひどくない!?」



後ろでまだなんか言い続けている凪を無視し、カメラマンの元に近づく。



「じゃあ、今度は黄瀬君と撮ろうか」


『え…』


「なんでいやそーな顔するんスか!?」


『だってさー』



オレだとばれたとき、女の嫉妬による狂気はどこまで跳ね上がるのだろうか…。



「それじゃ、黄瀬君と東雲…」


『君でいいですよ』


「東雲君はいりまーす!」



そりゃあ複雑だよな…。女に君つけるとか。



「…はーいこっち向いてー!」



「東雲…君。もうちょっと笑ってー」



「そうそう、そんな感じ!」










〜数十分後〜




『………』


「美雨…」


『もうダメ死んだ終わったやりたくない止めるわオレさようならバイバイ』


「言葉つながりすぎて何言ってるのかわからないっスよ!?」



椅子の背もたれに寄りかかり、スタッフがいない撮影場所でぶつぶつ呟く。



『……』



なんとなく携帯を開けてみれば、そこには何十件にも及ぶ大輝からのメールの数々。



『うげ』


「どうしたんすか?」


『大輝から物すんごいメールの数』



涼太と一緒になって内容を見てみれば、どれもご飯を要求するものだった。




  
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