黄と青の彩色 本
□第7投
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「青峰っち、どんだけ腹空かせてるんスか」
『んー、まさかこんなことになるとは思わなかったからなー…夜ご飯作り置きしないし…冷蔵庫に多分何もないし…』
「カップ麺とかは?」
『栄養偏るし、オレも大輝もカップ麺とか嫌いだから家にない。インスタント苦手なんだよ』
「…コンビニ弁当でも買えばいいじゃないっすか……」
『桐皇の練習がそんなに生ぬるいとは思えない。帝光と同じかそれ以上だろ』
「……なら動けないっすね…」
『だろ』
のろのろと立ち上がると、傍にいた雅に声をかけた。
『兄貴が死にそうなんで帰ります』
「兄貴が死にそうって…どういう状況!?」
『オレの飯が食えなくて死にそうな状況』
「わざわざ説明ありがとう」
ため息をついた雅は、そのまま手を額に持っていく。
「一応ノルマは越えたからいいぞ」
『じゃ、さようならー』
「ちょ、待つっス!!」
『…なんだよ涼太』
「送るっスよ!一人じゃ危ないし」
手早く荷物を整えた涼太が横に並ぶ。…身長差が…
「じゃ、失礼しまーす」
『…』
こうやってモデルの初日を無事終えたのだった。
『どこまで付いてくんだ?』
「さあ?」
『さあって…とりあえず買い物行くぞ』
「荷物持つっス」
『当たり前だ』
すぐ近くにあったスーパーに入ったと同時に突き刺さる視線。いやー、撮影の服貰って着といてよかった。
「夕飯何にするんスか?」
『もう大輝からリク来てる』
携帯を差し出せば頷く涼太。そこには【許してもらいたきゃオムライスを作れ】と書いてあった。
「いいなー、美雨のオムライス」
『食うか?』
「え?」
『食うかって言ってんだよ。ま、そうすると涼太ん家からは帰り遠くなるけどよ。それでもいいんなら』
「食べるっス!」
『そ』
籠に三人分以上の材料を入れていく。大輝と涼太の食べる量ぐらい把握している。帝光時代の料理担当はオレだったのだから。
それから今回のことを踏まえて、他にも材料を買い込む。大輝を買い物に付き合わせるにはアイスという代償がいる。無い涼太は楽だ。
とりあえず会計を済ませ、3つにもなった買い物袋のうち2つを涼太が持った。何でそんなに軽々しくもてるんだ。
〜♪
『ん?』
「誰からっスか?」
『……征十郎からだ』
「………なんて?」
『“もちろん1軍だよね”すでに疑問符付いてねーんだけど』
「赤司っちらしいっス」
『まだ試験も受けてねーんによ…』
「あれ、まだなんスか?」
『つーか明日だっての。そのために練習しようと思ったら潰されるし…』
「そ、それは申し訳なかたっス…」
そうこうしているうちに家についた。とりあえず【試験はまだだ】と返信しておいた。
『ただいまー』
「あー、やっと帰ってきた。メシー……って、黄瀬?」
「お邪魔するっス!」
「お前の家じゃねぇぞここは。早く帰れ」
「なっ!?お呼ばれしたんスよ!!」
『オレが呼んだ。買い物付き合ってくれたからさ』
「……あっそ。それより赤司からメール来ただろ?」
『ああ。大輝にもか?』
「ああ。一軍かどうか聞かれた」
『……涼太は来てねぇのか?』
「来てないっスねー」
「とうとう見捨てられたか?」
「んなっ!」
なんか喧嘩始まったので、涼太から買い物袋を奪いさっさと料理に取り掛かる。
「おい、なんで遅くなったんだ?」
『あー、モデルの仕事させられてた』
「は?モデル?」
『言ってなかったけ?』
「聞いてねぇぞ」
『そこの金髪に無理やり入れられた』
「無理やり強調しすぎじゃないスか!?」