黄と青の彩色 本

□第5.2投
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今回はちょっと本編から話をそらし、いつの間にかモデルになっていた美雨がどういう経緯でモデルになったのか過去を見てみましょう。
本当は本編として最初に入れようと思っていたのですが、書いているうちに

「入れるとこなくない?」

という失態に気付き、このような形で入れさせていただきます。
読んでも読まなくても差し支えはありませんが、僕の気が収まらないのと受験勉強の逃げです。
だって勉強嫌いですもん!好きな人いるの?みたいな。
……すみません、それましたね。










時は平成(当たり前)、海常高校入学式のたった二日前。入学準備も終え、あとは待つのみとなっている。
そんな中、青峰美雨は自室で黄瀬涼太と電話で話していた。



『何でオレが……』


―「別にいいじゃないっスか」


『他の皆は?大輝は?』


―「皆用があるって言ってたっス」



ただ面倒くさがっているだけだと思われます。というか大輝、隣の部屋で寝てるよね?いるよね?



『……で、どこの店行くの』


―「え、行ってくれるんスか!?」


『何買いに行くかによるけど』


―「バッシュっス!そろそろ買い換えようかなと思ってて。でも仕事が重なって買いに行けなかったんスよ」


『今をときめくモデル様は大変だねー』


―「そんなこと言わないで欲しいっス……」


『……まぁいい。オレもちょっと買いたいものがあるし。で、いつぐらいにそっちに着けばいい?』



そう問うと、電話口で「え?」と言われた。なんかおかしいことでも言ったのか。



―「美雨がこっちに来てくれるんスか?」



確認だが、美雨の住む家は東京だ。



『まだ午前中だし時間もある。涼太の仕事もいつ入るかわかんないならオレが行った方がいいでしょ』


―「じゃ、お言葉に甘えさせてもらうっス。今が9時だから………11時に駅でいいスか?」


『分かった』



じゃあ、と言って電話を切る。



『……まずは着替えか』



起きたばっかりという訳でもないが、休日を寝て過ごす気でいたので恰好はジャージだ。



『………』



無言でクローゼットを開ける。



『(あの涼太と行くんだ。少しでも男みたいにしないと……)』



スクープ記事も怖いが、何より女の嫉妬はこの世の何よりも怖い。前に普通のカッコで行ったら女からの視線が怖かった。
まるで射殺さんとばかりに睨みつけてくるあの様は、思い出すだけでも背筋が凍る。



『これでいいか』



白地のシャツに黒に赤のラインが入ったパーカーをはおり、下も黒のパンツだ。



『女には見えない……と思う』



鏡で自分の姿を確認し、とりあえずいいだろうと頷く。そのまま財布類をショルダーバックに詰め込み、家を出た。










『(ちょっと早く着きすぎたかな…)』



休日ということもあり、少し混雑するだろうと踏んでいたのだが、以外とすいていて予定より早く着いてしまった。
取り合えず駅前のベンチに腰を下ろし、まだ家で寝ているであろう大輝にメールを打つ。



『(ちょっと出かけてくる。昼食は何か適当に食べて、っと。これでいいか)』



送信してから気付く。家に大輝がそのまま食べられそうなものあったっけ…?



『(ヤバ、なんもないような気がしてきた)』



空腹でキレた大輝は怖い。だがもうここは東京じゃない。今から帰ると予定の時間より大幅に遅れてしまう。
美雨は仕舞いかけた携帯をもう一度開き、仕方なく2通目を送ることにした。



『(無かったらさつきんちで御馳走にでもなってろ。またはコンビニでも行ってなんか買ってこい)』



これで大丈夫だろう。



「美雨!!」



携帯をしまった途端、前方から駆けてくる金髪が見えた。



「ごめん!!待ったっスか?」


『いや、そんなんでもない』



とりあえず適度に変装している涼太に安堵した。



『で、どこの店行くの?』


「こっちっス!」



突然掴まれた手。元をたどれば涼太の姿。



『…何この手』


「手、つないでるだけっスけど。駄目スか?」


『…ダメじゃないけどさ』


「じゃあいいじゃないスか」



なんかいいように丸め込まれた気がする。



「ほら、行くっスよ!」



とりあえず、腹いせに後でなんか奢ってもらおうか。




  
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