磨騎 鴉。
□〈狼と魔女〉
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〈一人ぼっちの二人〉
昔々。世界には人間、亜人、人外がおり、それぞれのテリトリーと持っていた。
だが、人間がどんどんテリトリーを拡大していき、亜人と人外の殺戮が行われた。
同胞を殺されたと複数の亜人と人外は怒り人間の殺戮を!と長に申し出たが、
亜人と人外の長は欲深い人間と同じことをする必要はない。成り下がる必要はない。と落胆し亜人、人外は人間の前から姿を消した。
そんな昔の、まだ世界に魔女がいた時代。
これはそんな狼の亜人と魔女のお話。
ある町外れの森に魔女が一人暮らしていた。
藤色の髪をした魔女は見た目ほど若くあるが祐に人間の年齢とはかけ離れた年数を生きてきた。
そんな魔女の日常は退屈なもので、毎日の繰り返し。今日も森の奥に広がる草原で昼寝をしていた。
「おい、魔女さんよ」
地を踏みしめる音は魔女に近づき声を掛けた。
魔女は聞きなれた声にすぐ目を覚まし体を起こした。
「魔女じゃないわ。メラよ、バカ」
エメラルド色の瞳が捕えたのは白狼の亜人。金色の瞳が宝石の様に輝いている。
「バカじゃない。パーズだ」
「何の用?私眠いんだけど」
魔女はまた寝ころび、亜人に訊いた。
「お前はいつもそうだな」
亜人はため息をつき、魔女を見た。
「それで、何の用?」
亜人が話そうとすると草を分ける音と踏みつける音が聞こえた。
亜人は音のする方をじっと見つめ、足音の主を待った。
「こんなところにいたのか主よ!聞いてくれ!」
出てきたのは2人のクマの亜人と2人のイタチの亜人。
「こいつらが俺らの縄張りを荒らしてきたんだ!」
「ほぉ?いつからあそこはクマの縄張りになったんだ?」
「んだとっ!!」
いがみ合う2種。縄張り争いの様だ。くだらないと魔女は目を閉じる。
白狼の亜人はため息を一つつき鋭い視線を2種に向けた。
「黙れ」
白狼の声に共にいがみ合っていた2種が怯える。
「ここは私の森だ。下らぬ争いをするならば命を落とすぞ」
各々の縄張り以外全て白狼の縄張り。白狼の縄張りを荒らさば命はない。
その言葉に亜人たちは怯え、去って行った。
「森の秩序を守る主様が私に何の用よ」
亜人たちが言っていた主の言葉。
長は全ての亜人をまとめる年長者が担う称号。それとはまた違い、
森で一番強いとされる亜人に呼ばれる。そして、その強さで森の秩序を守るのだ。
「メラ。目を開けろ。それとお前は主様など言うな」
「人外には呼ばれたくないって?ま、いいけど。それで、早く用を言いなさいよ」
魔女は体を起こし、白狼を見た。
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