-桜が生まれる日-

□〈空に花が咲く時、初めてみた涙〉
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 夜の町。灯りがともる祭りの日。
様々な出店が出され夜の町を鮮やかに彩った。



「うわぁ〜! すごい人だなぁ!」



 鮮やかに彩られた町にシグレは心躍らせる。
毎年来ているスオウは目当ての屋台を探しながら見ていた。



「スオウ! あっちの出店行こう! 次はあっちだ!」



 次から次へと引っ張られながら進むスオウは
はしゃぐシグレをみて呆れながらもそんな彼をみて楽しくなってきた。



「スオウ!次は・・・」



 ふと、シグレの足が止まる。
視線の先にはたくさんの風車が売られていた。

 月の明かりと、提灯の灯り。
涼しさを出すために飾られた風鈴が夜の風に煽られて、美しい音を立てた。



「すごいな、なぁシグレ」



「・・・あぁ。・・・すごく、キレイだ」



 綻んだ表情があまりにも美しく。スオウは、一瞬錯覚を覚えた。



「?スオウ?どうした?」



 急に沈黙したスオウをシグレは呼ぶ。
我に返ったスオウはわざとらしく一つ貰っていこう!と声を上げた。



「? あぁ!」



 風車を一つ貰いシグレに渡す。どこか所作の一つ一つが美しく見えた。



「兄さんたち花火が近々始まるってよ! 場所とるなら今のうちだぜ!」



「本当か! スオウ!花火だ!」



「あ、おう!それなら良いとこ知ってる!ついて来いよ!」



 スオウはシグレの腕を引き、特別な場所へと目指した。






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