磨騎 鴉。

□《Phantom anb Fake.》−幻とまやかし−
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<童話のような物語>

 そよそよ。
 風は心地よく吹く。

 サンサン。
 太陽はぽかぽかと温かい。

 ちゅんちゅん
 鳥は子守唄に聞こえてくる。



「アンリ。」


 この至福の時は終わらせたくない。


「アンリ。」


 君とボクはずっと一緒だろ?







「アンリ! アンリ起きて!」


「アンナ。どうしたのさ、こんなんじゃ昼寝も出来ないよ。」



 アンリと呼ばれた少年が伸びを一つする。



「あのね、アンリ、面白いものを見つけたんだよ!」



 アンナと呼ばれた少女がキラキラした目を向けてきた。



「何を見つけたんだ? 蝶?小鳥?それともキレイな石?」


「白兎!」


「ふーん。捕まえたの?」


「うん! 見てみて! メガネかけて時計を持った兎さんだよ!」


 
 アンリが捕まえたのはあの世界的に有名な『不思議な国のアリス』に出てくる、服を着た白兎だった。



「放してください! 放してください! 遅刻してしまいます!」  ジタバタ ジタバタ


 しかもしゃべるときている。



「・・・・アンナ、放してやれよ。白兎が遅刻しそうって言ってる。」



「はーーい。」  ぶんっ



 アンナは返事をし、白兎を捨てた。





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