磨騎 鴉。

□《Phantom anb Fake.》−幻とまやかし−
3ページ/26ページ


〈ましな入口はないのか?〉


「きゃっ!」



「うわっ!」




 アンナが穴に落ちた。すると、
道ずれみたいにアンナはボクの服を掴み、
ボクも一緒になって穴に落ちてしまった。




「アンリ、アンリ! 危険、危険!」



「分かってるよ アンナ!」




 落ちて落ちて落ちて、
何メートル落ちたか分からないくらい
感覚が鈍って、、、
けれど、まだ出口は見えなかった。




「ほわっ!」



「!?」




 急に落ちるスピードがゆっくりになって、
宙にでも浮いているのかと錯覚させた。
 そんな状況にアンナは目を輝かせてボクを呼んだ。



「本棚にテーブル!
ゆらゆらイスにティーカップ!
アンリ、アンリ!すごいよ!みんな浮いてるよ!」




 お話の世界みたいだねと最後に付け加え、
アンナはあたりをきょろきょろと見渡した。




「あ、アンリ! 床だよ!」



「床?」




 アンナに言われて下を見る。
そこには白と黒のタイルが敷かれている床が見えた。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ