短編
□キッチンタイム
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レント「腹減った」
アレフ・ローレ「同感」
確かにお腹空いてきたな…。
もう外もだいぶ暗くなっている。
私達は今、レントのお家で一休み中。
レントのお母さんはお城に用事があるらしく、今はいない。
つまりご飯を作る人がいない。
…という訳でもない。
レント「エイト頼む。飯作ってくれ。」
そう。実はエイト、料理ができるのだ。しかもめちゃくちゃ上手い。
たまに近くに町とかがなくて、外でご飯食べる時はいつもエイトがパパッと作ってくれる。
エイト「はいはい。じゃあ作るから待ってて。台所借りるよ。」
そう言うとエイトは階段を降りて行った。
ローレ「ふわぁ…。俺は出来るまで寝てようかな。」
レント「俺も」
アレフ「じゃあ僕も。ミキはどうする?」
『私はいいや。昨日ぐっすり眠れたし。皆は寝てていいよ。』
アレフ「そっか。じゃあ出来たら起こして。」
『うん。』
ふー。暇だな。
…あ!そうだ!
いつも助けてもらってるし、私はエイトのお手伝いしよう!
***
『エイトー?』
エイト「あれ?どうしたの、ミキ。ご飯ならまだだよ?」
『違うよ!ただ、何かお手伝いすることないかなって思って。』
エイト「そんな気を遣わなくてもくつろいでていいよ。」
『ううん、私が手伝いたいだけなの。いつも助けてもらってるし。』
エイト「そっか。ありがとう。じゃあそこの野菜切ってくれる?」
『うん。分かった。』
エイト「…って、待て待て待て待て!!!」
『え?』
エイト「ミキ、その包丁の持ち方は何!?」
『何って普通の持ち方だけど。』
エイト「全然普通じゃないよ!指まで切るつもり!?」
『切らないよー。例え切ってもエイトのホイミで何とかn「やめて」
えぇー。じゃあどうすればいいの。
『こう?』
一応私はそれっぽい手の形をつくってみた。
エイト「そうじゃなくって、もっとこう…あー口で説明するの難しいな。ちょっとゴメン。」
何をするのかと思ったら、エイトは私の背後に回り、覆いかぶさるような体勢で私の両手を掴んだ。
『ちょ…エイト!?』
エイト「こうじゃなくてこう。もっと手を丸めないと危ないよ。」
いやいやいやいや。
今の私にとっては手よりも心臓が危ないよ!
エイト「ミキ?聞いてる?」
聞いてません。
この状態でまともに話が聞けるか!
するとエイトは今の私の状況が分かったのか、
エイト「あれーミキ、耳真っ赤だよー?どうしたのかなー?」
こ、コイツめ!絶対わざとだ!
エイト「あ、そうだ。やっぱりデザートから作ろうかな。」
ホッ…。やっと離れてくれた。
『じゃ、じゃあこの果物使えばいい?…ってエイトさん?なーんか距離が近くないですか?』
エイト「そう?気のせいじゃない?」
気のせいじゃないよ!
あきらかにおかしいよこの距離!
近付いて来るエイトから逃れようと、ズリズリ後ずさりしていると、とうとう背中が壁についてしまった。
ややややばいやばい…!
これはリアルにやばい!
目の前にはエイトの整った顔。
さらに顔の両隣にはエイトの手が置かれ、逃げれない。
『み、皆が来ちゃうよ!』
エイト「寝てるんでしょ?話してたの聞こえたよ。」
『起きちゃうかもしれないし!』
エイト「大丈夫だって。そんなに心配ならラリホーしてこうか?」
『ラリホーをそんな事で使わないで!(泣)』
思わず目をギュッととじると、上からクスクスと笑う声が聞こえた。
『…え?』
ゆっくり顔を上げるとエイトが笑いを堪えている。
な、なんで笑ってるの!?
エイト「ゴメンゴメン。ミキの反応があまりにも可愛いから。」
『からかったの!?』
エイト「さあ?でもミキは隙を見せすぎ。あんなとこで目、とじたら何されてもOKみたいなもんだよ。」
『隙なんて見せてないよ!』
エイト「ふぅん…。これでも?」
『へ?』
不意にエイトが急接近したかと思えば
ちゅっ
おでこにキスされた。
『…』
エイト「だから言ったでしょ、隙見せすぎって。忠告したのに。」
『……エイトのバカーーーッ!!!』
***
レント「なぁ、何で今日の飯は野菜だけなんだ?」
ローレ「しかも切り方ちょっと雑」
アレフ「お腹空いた」
エイト「(ボソッ)僕はある意味お腹いっぱいだけどね。」
『〜〜〜////』
END。