短編
□勇者講座
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『ずるい。レントはずるすぎる。』
レント「は?」
『勇者とか物凄く羨ましい。私もなりたい。』
私がそう言うと、レントは少し呆れたように私を見た。
レント「いきなり何を言い出すかと思えば…勇者はそんな簡単になれるもんじゃねーし。」
『じゃあ練習すればできるんだよね?』
レント「そういう問題じゃ…。しかもお前神だろ。勇者よりよっぽどいいじゃん。」
『神とかどーでもいいよ(いいのか)。私は勇者になりたいの!お願い!勇者講座みたいなの開いて!』
レント「勇者講座てwwまぁいいけど。暇してたしな。」
あれ?案外すんなりOK?
『やった!じゃあ早速お願いします、レント先生。』
レント(レント先生…。いい響きだな。)
レント「よし。じゃあミキ、勇者の装備といったら?」
え?何コレ。新バージョンのマジカルバナナ?
とりあえずリズムに乗っとこう。
『勇者といったらおなべのふた♪』
レント「言っとくけどこれはマジカルバナナじゃないぞ。しかも答え違うし。」
『え!?違うの!?』
レント「当たり前だ!!せめて皮の盾にしろ!」
『いや、初期装備はやっぱりおなべのふたかと…。』
レント「はぁ…まぁいいや。答えは剣。イメージ的に剣だろ?」
『あぁなるほど!!確かに皆剣使えるしね!』
レント「てなわけでまずはミキに剣をマスターしてもらう。」
いきなりそんなハイレベルな…!
レント「ま、初めだしこれで丁度いいだろ。」
そう言ってレントが取り出したのは銅の剣だった。
ミキ[E:銅の剣]
『あ、確かにこれなら初期装備……って重っ!!!何これ!!』
レントから銅の剣を受け取った途端、腕が鉛のように重くなった。
『ぐぬおぉぉお…!』
レント「そ、そんなに重いか?」
『重い…よ!でも…何と…か…!!』
私が力一杯持ち上げるとよろめきながらも何とか剣を構えることができた。
レント「おい、フラフラじゃねーか…って言った側から危ない!!!」
『きゃっ』
剣を上に持ち上げすぎて逆に後ろに体が傾いた。
ドサッ
背中に伝わったのは激痛…ではなく、ぬくもりだった。
どうやらレントが後ろで受け止めてくれたらしい。
レント「…ったく危なっかしいな、ミキは。まぁそこが可愛いんだけど。」
ちょ…!!
こんな至近距離で何てこと言うのあなたは!!
レント「ほら、一緒に後ろから持っててやるから」
そう言ってレントはその体勢のまま私の手の上から剣を持った。
こ、これは恥ずかしすぎる!!!
『ああああのレント!やっぱり私には剣はむむ無理みたい!だ、だから他のにしよう、うん。』
そしてもう離れてくれ!!
講座どころじゃなくなるよ!!
私が焦りまくり噛みまくりで言うと、
レント「ミキは俺と早く離れたいんだ…。せっかく教えてあげてるのにな…。」
何だかわざとらしい悲しそうな表情されたんだけど(汗)
それ以前になぜバレた。
レント「なぜかって?それはこれだよ。」
レントが指差す方を見ると、ラーの鏡が袋から少し出ていてこっちを映している。
『あぁぁぁ!!』
レント「勇者は時には頭を使うことが大事。」
そんなとこで使わないでよ…。
レント「あとそれなりの勇気だって必要。」
『え?』
と思ったがもう遅く、次の瞬間レントの顔が私に近付いた。
今起こった事にびっくりして固まってる私にレントは言った。
レント「それに責任感もいる。今の責任はちゃんと取るから。」
END