短編

□きえさり草にはご注意を
1ページ/2ページ





『ふぅー…今日もたくさん戦ったなぁ。ちょっと回復したいな。お、丁度薬草があるじゃん。』



私はテーブルの上にある薬草を見つけ、さっそく使った。




しかしいつものような、疲れや痛みが無くなる感覚にはならなかった。

それどころか、体がどんどん透けていってる気がする。


『え。何これ。消えてるよ!私の体消えてる!』

おおおおい。
ヤバいでしょこれは。


ぎゃあぁあぁ!!!
完っ全に消えちまったぁ!

とその時。
私より少し遅れて皆が帰ってきた。


レント「あー疲れた」

ローレ「エイトー飯ー」

エイト「僕はご飯じゃないよ。述語言いなよ。」

レント「あれ?ミキは?確か俺らよりも先に帰ったと思ったんだけど…」

ソロ「どうせまたそこらの店で寄り道してるんじゃないか?」


違います!
ここにいますよ私は!

私がいくら叫んだって皆には聞こえていない様子。


アレフ「あーーっ!!誰だよ僕のきえさり草取ったの!ここのテーブルに置いてたのに!」


アレフが指差した場所。
そこはさっき私が薬草を見つけた場所だった。


あれ薬草じゃなくてきえさり草だったの!?


リュカ「僕は知らないよ。というかきえさり草なんて誰も取らないでしょ。」

ナイン「きえさり草なんて一体何に使うつもりだったんですか?」

アレフ「な、何って…それはプライバシーの侵害だよ!」


いや、ホント一体何に使おうとしたのアレフ!


てゆーか私、どうすればいいの。


私は皆に気付いて欲しくて色々なことをした。

エイトのバンダナをほどいたり、ソロのスライムピアスをつついたり…しかし一瞬不思議そうな顔をするだけで気付く気配は一つもない。


ど、どうしよう…。

その時、レントがいないことに気付いた。

自分の部屋かな?

そう思い、私はレントの部屋に行くことにした。


案の定レントがいて、何やら考え込んでいる。

レント「きえさり草…?もしかしてミキはそれを…」


どうやらレントは私がきえさり草で消えたことに気付きそうだ。


そうだよ、レント!
私はここだよ!

そう思いながら私はレントに後ろから抱き着いた。

レント「Σうおっ!」

するときえさり草の効果が切れたのか、私の体が見えるようになってきた。

レント「ミキ!!やっぱりお前きえさり草で消えてたんだろ。」

レントのぬくもりに安心したのか、私の頬に涙が伝った。

『…き、気付いてもらえないかと思った…ぐすっ…』

すると前を向いていたレントが体をくるりと回転させ、私の方を向いた。

レントは私の背中に腕を回して抱きしめ、

レント「バーカ。きえさり草はいつか効果無くなるだろ。」

た、確かにそうだ。
今まであんなに焦っていた自分が恥ずかしい。


レント「…ったく。こんなことで心配させんなよ…。」

こんなことでも心配してくれたのが嬉しくて、私はもっとレントに抱き着いた。



END
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ