短編

□ドキドキ☆バレンタイン
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今日はバレンタイン。
ここ、セントシュタイン城下街でもその話題で持ち切りだ。



『今年はたくさん作らないといけないよね…』


そう、私の仲間は皆(サンディやラーミアを除いて)、男ばっかりだ。


『あーっ!もう誰よ、バレンタインに女の子が男の子にチョコあげる日って決めたのは!』


『普通逆でしょ。男なら潔く自分から告白せんかーい!』


レント「ミキ、何一人で大声出してんだよ。」

『げ。レント。』

レント「お。チョコ作ってんの?」


そうだった。
私は今皆の分のチョコを作ってる最中だったんだ。

『うん。今皆の分作ってるの。』

レント「何だよ。皆にあげるのか?俺にだけじゃなくて?」

『そういう訳にもいかないでしょ。変に期待をしないことだねレントさん。』

レント「ムカつく…。そういえばお前料理苦手じゃないっけ?」

う…。
な、なぜそれを。

『べ、別に苦手じゃないもん。そんなこと言ってると、レントだけチョコあげないよ。』

レント「分かった分かった。俺も手伝ってやるよ。」

レントが手伝う?そもそも料理出来るの?

レント「お前今、レント料理出来るの?とか思っただろ。」

ギクッΣ(゚-゚;;

レント「ナメんなよ。勇者たるもの料理くらい出来て当然。」


***一時間後***


『…さっき料理くらい出来て当然とか言ってたのはどこの勇者様だっけ?』

レント「…さ、さぁ?どっかの赤いバンダナした奴じゃね?」

それはエイトでしょ!

『もー…またやり直しだ。』


…ん?

何やら隣から視線を感じ、振り返るとレントが私を見つめていた。


『な、何…?』

レント「…。」

レントは無言で顔を近付け、私は思わず目をギュッとつむった。


するとレントは私の頬を親指で撫でて体を離した。


あ、あれ…?

レントはチョコの付いた指を私に見せ、

レント「これ、頬に付いてた。ん?何だよ赤い顔して。…あ。もしかしてキスされると思った?変に期待をしないことだねミキさん。」

『ひ、人のセリフを取らないでよ!しかも期待なんかしてないし!』

ふぅん…と言いながらレントはそのチョコの付いた指を舐めた。


……舐めた!?

『な、ななな何やってるの!?』

レント「は?何ってチョコ舐めただけ。」

信じられない…。
恥ずかしすぎる。

レント「ほらミキ、早く作らないと間に合わないぞ。」

誰のせいだと…!!!


***


『ふぅ…なんとか出来た。よし、皆に渡しに行こう。』

あの後、私達は苦戦しながらもなんとか全員分のチョコを用意することができた。


実は一番上手く出来たやつ、一つだけ残してるんだよね。
何だかんだで手伝ってくれたレントに後で渡そう…。

***

エイト「うわぁ…ミキ、ありがとう!」

ナイン「これ、手作りですか?」

『え?う、うん一応。』

レントが手伝ってくれたけど。



『ね、ねぇレント。ちょっと外来て?』

私は皆が気付いていないのを確認し、レントを外に連れ出した。



レント「何だよ。」

『あ、あの…これ!!』

私は恥ずかしかったけど、レントの前にチョコの包みを差し出した。

レント「え…。」

『一番上手く出来たやつだから、手伝ってくれたし…レントにあげようと思って…。』

するとレントはクスッと笑ってその包みを受け取った。

レント「ミキ」

『な、何?もうチョコはつい…』

ついてないよ、と言おうとしたがレントにキスされて言えなくなってしまった。


最後にレントがとびきりの笑顔で言った。


レント「俺今一番幸せかも」



END
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