短編

□Cute hero or Wild hero?
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『ふわぁ…』


今日は何だかポカポカしてて眠くなるな…。


特にすることもないのでぼんやりしていると、後ろから私を呼ぶ声がした。



アルス「ミキ、何してるの?」


『あぁアルス。んー…ただすることないからぼんやりしてるだけ。』


アルス「そっか。…あ!だったら僕と散歩しようよ。天気もいいし。」


散歩か…。
まぁ確かにぼーっとするよりアルスとお喋りしながらお散歩でもしていたいな。


『うん、じゃあ行こっか』


そう言って宿屋を出ようとした時、


レント「あ、ミキ!!ここにいたのかよ!」


レントが私の姿を見つけ、ややムッとした表情で近付いて来た。


『どうしたの?そんな顔して。』


レント「どうしたの?じゃねーだろ!お前忘れたのかよ。今日は一緒にレベル上げする約束だろ?」


『え。そんな約束したっけ?』


レント「お前…この暖かさでボケたか?」


失礼な!

あ、でもなんかそんな約束したような。


…いや。したようなじゃなくってしたよ!


『ご、ごめんレント。忘れてた。』


レント「はぁ…。まぁいいや。じゃあ今から行こうぜ。」



え?今から?
どうしよう。アルスとお散歩行くつもりだったけど…。

私が何か言うより早く、アルスが先にレントに言った。



アルス「レント、僕達今から散歩に行くんだから邪魔しないでよ。」


レント「はぁ?散歩?そんな暇があるならちょっとでもレベル上げた方がいいだろ。」


アルス「最近戦ってばっかりで全然休んでないよ。ちょっとは息抜きしたいよね、ミキ。」


『う、うん。まぁ…ね。』


レント「俺だって別にぶっ続けで戦おうなんて思ってねーよ。それにミキだって早く強くなりたいよな?」


『う、うん。なりたいっちゃあなりたいけど…』



するとアルスが私の服の裾を少し引っ張り、上目遣いで尋ねた。



アルス「ねぇ、ミキは僕と散歩に行くよね?」



なんだその可愛い仕草は!

ヤバい。
気持ちがアルスに傾く…!


そう思った瞬間、今度はレントが腕を少し引っ張ってきた。



レント「何だよ。昨日約束したじゃんか…。だから俺と行こう?」



くっ…。
こっちもこっちで何だか可愛いぞ!


確かに先に約束したのはレントだし…


私がまだ迷っていると、さらにレントが私の腕を引いてきた。

それで私の体がややレント側に傾いたかと思ったら、今度は反対側からも腕を引っ張られた。


『うわっ…』



左にはアルス。
右にはレント。


睨み合ってる二人。
正反対な二人。


可愛い勇者とワイルドな勇者、私はどっちを選んだらいいの?



レント「おいチビ。いい加減その手離せ。」


アルス「嫌だよ。寝癖頭こそ諦めてよ。」



そんな言い争いをしている二人の間で、私は密かに思うのだった。



END
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