短編
□有意義な使い方
1ページ/2ページ
『ふっふっふ…』
そう。お察しの通り、私は今悪いことを考えてます。
現在私が持っているものはきえさり草。
以前、薬草と間違って使ってしまい、大変だったのを覚えてる。
え?なのに何で今それを使おうとしてるのかって?
それはですね…って私は一体誰に話し掛けてるんだ。
まぁとにかくきえさり草の効果は分かったし、これを有意義なことに使おうという訳ですよ。
そういう訳で、私はさっそくきえさり草を使った。
するとみるみるうちに体が透けてきて、最後には全く見えない状態になった。
『よし。Let's いたずら☆』
さーて最初は何から始めようかな?
まぁまずはバレた場合も安心なアルスからかな。
私は本を読んでいるアルスにそっと近付いて、その本をバッと取ってみた。
アルス「Σうわぁっ!!!」
ふふ。驚いてる驚いてる。
いきなり本が取り上げられ、え?え?と戸惑っているアルスを見て、私は次のターゲットを定めた。
『次は…よし。ローレにしよう。』
今度は、椅子に座って何やら眠たそうに頭がカクカク動いてるローレに近付いた。
そして頭についてるゴーグルをスッと動かして目に装着させてみた。
ローレ「Σうわっ!な、何だ!?」
これも大成功。
次は誰にしようかな。
そうだ、ソロにしよう。
いつもはクールなソロが驚いたら一体どうなるんだろう?
そう思い、私はさっそくソロの部屋へ向かった。
運よくドアが開いていて、何とか音を立てずに入ることができた。
ソロは剣を磨いている最中。
こっちに気付く様子は全くなし。
いたずらの準備完了。
私はゆっくりとソロに近付き、剣を磨いている布引っ張ろうとした。
…が。
近くの本棚に足をぶつけてしまい、ガンッという鈍い音が部屋に響いた。
痛ぁ…!!!
や、ヤバい。
ソロが不審そうに本棚(私)を見ている。
し、仕方ない…。
これじゃあさすがにバレそうだから今のうちに逃げよう。
まだきえさり草の効果は切れないはず。
そう考え、私がまたドアの方へ行こうとすると…。
ソロ「ミキ、何やってるんだ。」
『Σひぇっ!?』
な、何で分かったの!?
ソロ「いきなりミキが現れたから驚いたけど、どうせまたきえさり草でも使ったんだろ?」
現れた!?
嘘っ!?
まだきえさり草の効果は切れないと思っていたが意外と時間が経っていたらしく、本来の姿に。
後ろからソロが近付く音がする。
私はドアの方向を向いているので、ソロが今どんな表情をしてるのか分からない。
私は本気でヤバいと思い、半開きになっているドアのノブに手をかけた。
その瞬間ソロの腕が私の顔の横を通り、私が出るより先にドアを閉めた。
もう無理だ。
逃げられない。
『申し訳ありませんソロ様。少々私のいたずら精神が発動してしまいまして。』
だから帰して頂けませんか。
だが返ってきたのはこの答え。
ソロ「ミキはいたずらで男の部屋に入るんだな。だったらそんな軽々しく男の部屋に入るとどうなるか、分からせてやるよ。」
後ろから耳元で甘く囁かれたその言葉に、私はひどく赤面した。
END