短編

□HAPPY BIRTHDAY
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ここはセントシュタイン城下町、リッカの宿屋。





今日はレベル上げもアイテム収集もお休み。



そんな中、一人だけルンルンな人物がいた。





ミキだ。




『もーいーくつ寝ーるーとー誕生日ー♪』



彼女は何気なく歌ったのだろうが、近くにいたアレフはもの凄く反応した。



アレフ(た、誕生日!?)



ミキはもうすぐ誕生日なのか!?

し、知らなかった…。


こうしちゃいられない。
皆に知らせないと!!



僕はまず、錬金釜の前で悩んでいるエイトとナインに声をかけた。



アレフ「ねぇ二人とも!大ニュースだよ!」


エイト「邪魔しないでよアレフ。あと少しで出来そうなんだから。」


ナイン「大ニュースとか言っても、どうせ美人を見つけたとかいうのですよ」


二人は錬金釜から顔を上げもしない。


アレフ「違うよ!美人は美人でもうちの紅一点、ミキの誕生日だよ!」



“ミキ"という名前に二人の手が止まった。



エイト「ミキの誕生日!?」


ナイン「いつですか!?今日ですか!?」


アレフ「い、いやいつかは分かんないけど…」


予想以上に食いついた二人に戸惑いながらも、僕は答えた。



エイト「そこが大事なのに。今日だったらどうするの?」


ナイン「とりあえず皆に知らせた方がいいですね。」


アレフ「じゃあ僕が伝えて来るよ。二人は何か作戦練ってて!」



そう言って僕は昼だというのにまだ寝ているレックの部屋に言った。



ガチャッ


アレフ「おいレック!起きろ!」


レック「Zzz…」


アレフ「まったく…。起ーきーろー!」


僕がいくら揺さぶっても大声で呼んでも起きる気配はなし。


レック「ミキー…今日は…兄ちゃんと…風呂入るぞー…」





…はい?




寝言か?これ。





アレフ「(#´曲`)殺



その時、アルスが入って来た。




アルス「レックまだ寝てるの?…ってうわ!!アレフどうしたの!?」


アレフ「いや、ただこのシスコンがちょっとした問題発言をしただけだよ」


アルス「アレフがこんな黒くなるなんて一体どうな発言を…」


アレフ「あ、それよりアルス聞いてよ!今日もしかしたらミキの誕生日かもしれないんだ!」


アルス「えぇっ!?そうなの!?僕何も用意してないよ!」


レック「それは大変だ!早く準備をしなくては!」


アレフ「いつの間に起きたの!?」



ここにもミキに反応する奴がいたよ。



アレフ「あとはリュカとレントとローレとソロか。」


アルス「じゃあ僕ソロに言ってくるよ。」


レック「だったら俺はリュカに伝えてくる。」


アレフ「あぁ頼んだ!」



僕はレントとローレか…。
きっとあの二人も過剰に反応するんだろうな。


よく考えたら、皆に伝えずに僕だけがミキの誕生日を祝えば株が上がっt…



レント「アレフ。何かくだらないこと考えてないか?」


アレフ「Σうわぁっ!!!」



突然肩に置かれた腕とかけられた声にびっくりして、思わず声をあげてしまった。


しかも考えがバレバレ。



ローレ「今日ミキの誕生日なんだって?お前声でかいから聞こえた。」



さすがミキLoveな奴ら。情報が早い(←あんたもだ)


レントの腕を払いながら、僕は言った。



アレフ「今日とはまだ決まってないよ。」


レント「だったら手っ取り早く本人に聞こうぜ。」


ローレ「そうだな。」



えぇっ!
そこは普通内緒で準備するものでしょ!
聞いたらバレるじゃん!

でもいつかが分からないと話にならないし…。



アレフ「レント、それとなくだよ!」


レント「分かってるって。」



そう言うと、レントはミキのいる部屋に行った。


僕とローレは少し離れたドアの所でその様子を見ることにした。




『誕生日にはー何食べよー♪ケーキを食べてープレゼントー♪(←続きがあった)』


レントが歌っているミキに近付き、


レント「ミキ、今日って誕生日なのか?」





アレフ・ローレ(直球すぎだろ!!)


全っ然それとなくじゃないよ!!



『うん、そうだよ。』


しかもホントに今日!?

ヤバいぞ…。

と、とりあえず皆で話し合おう。

僕はローレとミキと話していたレントを半ば強引に引っ張ってエイト達のいる場所へ向かった。


その時、ミキが不思議そうな表情をしていたけど今はそんなことよりも、これからどうするかだ。






アレフ「エイト!」


エイト「あ、アレフ。どうだった?」


そこにはソロやリュカもいた。
どうやら全員いるようだ。



アレフ「やっぱり今日だって。どうする?」


ナイン「あれから僕達も考えたのですが、やっぱり言葉で伝えるのが一番じゃないかってなったんです。」


エイト「あ、一応料理はしたよ。」


レック「ここにいる奴全員手伝わされた…」


アルス「ソロ、意外と料理上手いんだね」


ソロ「意外とは余計だ。」



リュカ「それにもう並べちゃったしね。」


ローレ「早っ!」



確かに。
もし今日じゃなかったらどうするつもりだったんだ?




『皆で集まって何してるの?』



ふいに聞こえた声の主の方を振り返ると、そこにはミキがいた。

ミキはテーブルに並んでいるごちそうを見て、目を輝かせた。



『うわぁ…!どうしたの?これ。凄いごちそうだね。』



レント「だって今日誕生日なんだろ?」


アルス「だから皆でお祝いしようってなったんだ。」


レック「ミキ、」





全員「HAPPY BIRTHDAY!」



全員でそう言うとミキはさらに目を輝かせ、




『凄い!まさか皆で祝うなんて思ってもみなかったよ!良かったね、ゲレゲレ!』














…ん?

ゲレゲレ?




皆も疑問に思ったらしく、ミキの後ろに目線を移した。


そこにはあのキラーパンサーが。
喜んでいるのか、ガウガウと鳴いている。




ソロ「まさか誕生日って…」



『?今日はゲレゲレの誕生日だよ?』






その瞬間勇者達の凄まじく恐ろしい視線がアレフに注がれたのは、言うまでもない。






END
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