DRAGON QUEST

□第6章
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***




あの後私達は無実とはいえ、さすがにカボチ村に泊まることはできないので、ポートセルミで宿を取った。






あれ?
リュカさんがいない…。
外かな?



そう思い、私は宿屋の外へ出た。





***




案の定、リュカさんは外にいた。

何を考えているのか、リュカさんは船乗り場に座って海を眺めている。





『リュカさん。』


リュカ「あぁ、ミキちゃん。」


『何してるんですか?』


リュカ「特には何もしてないよ。海を眺めてるだけ。」



リュカさんが隣座る?と聞いたので、私もリュカさんと一緒に座って海を眺めることにした。



『潮風が気持ちいいですね。』


リュカ「そうだね。」



その時、ふとリュカさんの手元に目が行った。



…剣?
こんな剣、リュカさん持ってたっけ?



私の目線に気が付いたのか、リュカさんがその剣について説明してくれた。



リュカ「あの後、ゲレゲレが持って来てくれたんだ。」


『そうなんですか。使い込まれていて少し古いけど、何だか懐かしさを覚える不思議な剣ですね…。』


私が直感的に思ったことを口にすると、リュカさんは驚いたように私を見た。



『どうかしました?』


リュカ「いや…、まさかそんな答えが返ってくるとは思わなかったからびっくりして…。」



私、変なこと言ったかな?



リュカ「実はこれ、僕の父さんの剣なんだ。」


『お父さんの…?』


リュカ「僕の父さんは、僕が6歳の時に亡くなった。正確には殺されたんだ…。」




殺され…た?



『そんな…』


リュカ「僕と父さんは、魔界へ連れ去られた僕の母さんを助けるために旅をしていた。」



リュカ「だけどその途中、ゲマっていう奴に父さんはやられたんだ…。その後も僕らを奴隷として働かせ…。」




あの夢はやっぱりリュカさんの過去だったんだ…!


酷い…酷すぎる…




リュカ「僕があの時、もう少し強ければ…!そうしたら父さんを死なせることはなかったかもしれないのに…!」





やめて…やめてリュカさん…。

そんなに自分を責めないで。





『リュカさん、私はあなたの過去を夢で見ました。』


『あの時リュカさんは精一杯戦った。あの時の自分の最大限の力を出し切ってた…!』


『そんなリュカさんを見て、そしてどんなに辛いことがあっても負けないでこんなに強く成長したリュカさんを見て、お父さんは嬉しかったと思う…!!』



『だから…だからそんなに自分を責めないで…。』





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