DRAGON QUEST

□第19章
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…――
―…―――




*「ミキ、ミキ…」




ん…?

誰か…私を呼んでる…





『誰…?』


*「まぁ…!本当にミキとお話ができるなんて!」





そう顔の前で両手を合わせ、上品に喜ぶ綺麗な女の人。


長い黒髪にサークレットをし、高級そうなドレスに身を包んでいる。


まるでお姫様みたいだ。





『えっと…あなたは…?』


ミーティア「あっ、ごめんなさい。自己紹介がまだでしたわね。私はミーティア。ご存知かしら?」





ミーティア?


…って、




『も、もしかしてエイトが言ってたお姫様?』


ミーティア「うふふ。エイトったらミーティアのこと、ちゃんと紹介してくれていたのね。」





ミーティア姫の事なら、以前エイトに聞いたことがあった。




『あれ?でもエイトの話だと、呪いで馬の姿になっちゃったって…』




私は馬車を引いていた、綺麗な白馬を思い浮かべた。



するとミーティア姫は少し苦笑気味に、




ミーティア「えぇ、いつもはお馬さんの姿だからお話できないけれど…。だからせめて夢の中でミキとお話できないかしらって思っていたの。」




まさか本当にできちゃうなんて、とまた嬉しそうに笑うミーティア姫。



実際、私もミーティア姫と会話ができて喜んでいた。




『ミーティア姫をお目にかかれて、私もとても嬉しいです。』


ミーティア「もう、ミキったら敬語なんて使わないで?」


『でも…』




相手は一国の王女である。

そそうのないようにしなくちゃ。




ミーティア「ミーティアとしては敬語など使わず、ミキにはお友達のような存在になって欲しいの。」



ミーティア姫本人がそう言ってくれるなら、普通に振る舞おうかな。


正直、これじゃあ緊張して上手く会話できる自信なかったんだよね…。




『うん、分かった。』


ミーティア「嬉しいわ。ミーティアには歳の近いお友達がエイトくらいしかいなかったから、何だか新鮮。」


『そうなの?じゃあエイトとは長い付き合い?』


ミーティア「ふふ、そうね。エイトとは幼なじみとも言えるかしら。」


『そうなんだ。幼なじみってことは仲がいいんだね。もしかして、ミーティア姫はエイトのことを好きなのでは?』




いきなりガールズトーク突入。


まさか異世界に来てまで、ましてや夢の中でこんな話をするなんて思っていなかった。




ミーティア「いいえ。エイトはお兄様のような存在で、そのような感情は持ったことありませんわ。」




あら残念。


ミーティア姫ってばスッパリ言っちゃったよ。


エイトフラれたな(笑)



私がそんな呑気な事を考えていたら、今度はミーティアから信じられないことを聞かれた。




ミーティア「ミキこそエイトをお慕いしているんじゃなくて?」


なわけないじゃないですか。




私は即答した。


ミキの質問が呪文なら、ミーティア姫はきっとマホカンタを唱えていたに違いない。


確かにエイトのことは好きだけど、ミーティアと同じようにそんな感情を持ったことは一度もない。



するとミーティア姫、今度はこんなことまで言い出した。



ミーティア「まぁ。ですがエイトはミキのことをとてもお慕いしているように見えますわ。」


『へっ!?』


いやいやいや。
ないないない。


ミーティア「ミキがいなくなった時に凄く焦っていたし、ミキを助ける手掛かりを探している時も凄いスピードで、ミーティアついて行くのが大変でしたわ。」


『そ、そうなの?』


ミーティア「えぇ、それにエイトだけじゃありませんわ。他の方達も凄く必死で…。きっとそれ程ミキを愛しているのでしょうね。」




ミーティア姫が楽しそうに笑って言った。



愛してるだなんて、
絶っっっっ対にありえないな。



私は本気でそう思った。


そりゃあ少しは好きでいてほしいけど、この"好き"は仲間としての感情だ。



ミーティア「ふふ、ミキは皆の気持ちに気付いていないのね。でも本当にミキが元に戻って良かった…。」


『ミーティア姫…』


ミーティア「ミキとはあまり面識がなかったけれど、ミキがいなくなったと聞いてミーティアも凄く心配しましたわ。」


『ごめんなさい…』


ミーティア「そんな、謝らないで?ミキは何も悪くありませんもの。ミキが無事ならばそれで構いません。」




私は何て幸せ者なんだろう。

周りにはこんなに優しい人達ばかり。




ミーティア「ねぇミキ、少しリラックスしてみてはどうかしら?」


『リラックス?』


ミーティア「えぇ。ミキが今までどんな旅をしてきたのかは分からないけど、今回のことでミキも疲れているはず。」


『うん、まぁ…ちょっと混乱しちゃったかな。』


ミーティア「だからのどかな場所等へ行って、少し落ち着いてみたらどう?」


『のどかな場所か…。うん、そうだね。きっと皆も疲れてるだろうし、言ってみるよ。』




私がそう言うと、ミーティア姫は優しく微笑んでくれた。





『早く復活して、ミーティア姫やトロデ王が元の姿に戻れるように頑張るね!』


ミーティア「ありがとう。でも無理だけはしないで下さいね。」


『うん。またぶっ倒れちゃったらそれこそタイムロスだもんね。』


ミーティア「ミキはミキのペースでいいのよ。…あら、そろそろ時間のようね。」


『時間?』


ミーティア「うふふ。じゃあ今度はミキと起きている時に人間の姿でお話ができるようになっていたらいいな。…またね、ミキ。」




…――
―…―――



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