恋愛上等!イケメン学園[片思い編]

□素敵な片思い−4月/fall in−
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「だ、男子校!?」


「ほぼ、な。」


神蘭学園の現状を知らされてパニックに陥った私を、担任は冷ややかな目で見ていた。


「オイオイ、知らないで来たとは言わせないぜ。」


「(アワアワ)…。」


「お前、どんだけ男好きなんだよ。」


担任は、ニヤリと意地悪に口を歪めて、私を見た。


「!!?…お、男好きって……」


(ひ、ひどい!!この人本当に教師なの!?しかも担任って!!!)


転入してきたばかりの生徒に鬼のような台詞を吐く担任教師を前に、


私は顔面蒼白でフリーズするしかなかった。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


その日の放課後。私は冴島先生に呼ばれて化学準備室にいた。


「寮まで案内するから、ちょっとそこで待っとけ。」


丸い椅子に座り待っていると、先生がお茶を入れてくれた。


「ほら、もらったクッキーもあるから食え。一応学校内だから、内緒だぞ。」


(……へえ、意外だな。ひどいことばっかり言う割に、お茶とクッキーまで…。)


「あ、ありがとうございます。ではいただきます。」


「で、初日の印象は、どうだ?」


「ええと… とっても怖そうな先生だと思いましたが、今ここでお茶を入れてくださって あ、意外と優しい所もあるんだと驚いていたところです。」


「な… アホ!! 俺の印象じゃなくて、学校だ!! 何が意外と優しい所もあって驚いただ。」


先生がギロリと私を睨みつけた。


(やだ、私ったら!!勘違いして変なこと言っちゃったよ!恥ずかしい〜!!)


「が、学校の印象ですか。そうですね〜…。(アセアセ)」


「………」


「………」


「………」


なんて言ったらいいのか、言葉が出てこない。


知らなかったとはいえ、男子校に女子一人。


みんなの好奇の目、不良がたくさんの男くさい教室、鬼のような担任教師。


お父さんやお母さんと離れてここで暮らしていくのかと思うと、不安で胸が押しつぶされそうになる。


(ジワリ。やば… 涙が出そうだよ。こんな事で泣きべそかいてたらみっともないよ。しっかりしなきゃ。)


ポカポカポカ!!!


私は自分の頭を叩いて、喝を入れた。


「!!!オ、オイ、どうした、大丈夫かお前!?」


先生が気味悪そうに私を覗き込んでいる。


「私、早くみんなと打ち解けられるように頑張ります。」


「………そうか。


まあ、悪そうな奴らばかりだが、中身は純粋だ。お前が心を開いていれば、すぐに仲良くなれると思うぞ。」


「そうですか。…良かった。」


「担任はこの通り、パーフェクトな男だしな、お前運がいいぜ。感謝しろよ!!」


「ハ、ハア……」


(なんかすごく自信家なんだな、この先生。でも、有無を言わせない強さを持っているというか… 


とにかく外見だけは確かにパーフェクトかも…)


「さあ、食ったら行くぞ。今度は男だらけの神蘭寮だ。」

 
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