恋愛上等!イケメン学園[片思い編]
□素敵な片思い−5月/dear devil−
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「席に着けー。朝礼始めるぞ。」
いつものように出席簿を片手に、冴島先生が面倒くさそうに教室に入って来た。
トレードマークの白衣はちょっぴりよれよれだ。
髪はぼさぼさ、じゃなくて、絶妙にナチュラル。
いつも白衣のポケットに手をつっこんで、不機嫌そうにしかめっ面している。
生徒たちから魔王と呼ばれるほど、怒らせると恐ろしい人。でも…。
「龍海と吾妻!!お前ら昨日の補習サボりやがったな!?」
魔王の雲行きが怪しくなると、教室中が凍りつく。
「いい度胸してんじゃねぇか。覚悟はできてるんだろうな。」
ギロリと先生が睨みをきかす。
「(ヒソ)やべぇよ、亮二、どうする?」
「(ヒソ)どうするって、どうしようもねぇよ。」
「放課後、準備室まで来い。たっぷりお仕置きしてやるから楽しみにしてろよ。」
そう言って先生はニヤリと笑った。
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鬼だとか魔王だとか暴君だとか…、まあ生徒達にはいろいろ言われている先生だけど
私の中ではある気持ちの変化が起きていた。
昨日の朝だって―――
龍海くんが日頃からいがみ合っている他校の不良達が校門に押し掛けて来ていた。
総勢15人はいたと思う。龍海くんを出せと大声で怒鳴っていた。
龍海くんは、売られた喧嘩は買ってやるよと戦闘モードに入ってしまったのだけれど、冴島先生は水瀬君に
「龍海を教室から出すな」
と命令して、不良達の所へ行ってしまった。
校門では、教頭先生達が不良達を帰らせようと必死だったけど、言うことを聞くはずもなく、無理やり校内に入り込もうとしていた。
「オイ、テメェら!!!」
冴島先生が一喝する。
「俺の生徒に話があるなら、俺を倒してからにしろよ。」
ゆっくりと不良たちの前に歩み出て、威嚇する。
「ホラ、お前からいくか!?かかって来いよ!!オラ、どうした!!」
竹刀を持った先生が最上級の魔王オーラを放ち、啖呵を切ると、不良達は勝負をする事もせず、散り散りに逃げていってしまった。
例えその時、15人が束になってかかってきても、先生が圧勝しただろう。
そう思えてしまうぐらい、圧倒的な信頼感があるのが、冴島先生だ。