恋愛上等!イケメン学園[片思い編]
□素敵な片思い−10月/love holic−
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しばらく笑った後、ふと見ると、先生は今まで見たことがないような、複雑な表情で私を見つめていた。
どこか切なげな、それでいて優しい笑顔のような。
何だろう、やっぱり先生、ちょっと変だ。
私の不安そうな顔を見て、先生はいつものからかうような口調で言った。
「ラストシーンは一番の山場だからな。プロデューサーの俺様が直々に相手をしてやる。ちょっとやってみろ。」
「えーっ、先生の前でなんて、恥ずかしいよ…」
「いいから、ほら…。ヒロインが告白する場面だぞ。
『2人は手を繋ぎ、並木道を歩く。』」
先生はシナリオを読みながら、すっと左手を差し出した。
「ほら… 俺の手、握れ。」
先生の手………
大好きな先生の手が私の右手を待っている。
でも、恥ずかしい…
恥ずかしくて、ここからもう逃げ出したいよ…
「なんだよ。晃の手は握れて俺の手は握れないっていうのか?ムカつく奴だな!」
先生が半ば強引に、奪うように私の手を掴んだ。
「次。ほら……… 俺の目を見て。
『先生、好き』って
言ってみろ。」
「!!!!? そっ、そんなセリフあるわけないでしょ!?
かっ、からかうのもいい加減にしてくださいよ!!」
私はドキドキさせられすぎて、急に腹がたってきた。
人の気持ちを弄ぶような事をして、いったいなんなの!?
悔しくて、涙が浮かびそうになるのをぐっとこらえて先生を睨みつけた。
先生の手を振りほどこうとしたけど、先生は力強く私の手首を掴んで離してくれない。
「怒るな。」
先生… やっぱり変だよ。
どうしてそんな、悲しそうな顔してるの?
先生が何を考えているのかわからないよ…
「今は俺が相手なんだから、『晃』じゃ雰囲気出ないだろ。
だから、怒らないで、ちゃんと言え。
『先生、好き。』って…。」
そんなセリフ… 心臓が爆発しそうだよ…
私はうつむいて、頭を横に振った。
「下向くな。ちゃんと俺の顔見て…」
先生の指が私の顎をもちあげる。
「…言えよ。」
言えないよ…
私は、首を横に振る。
先生はちょっと怖い顔をして、私の耳元に口を近づけてささやく。
「ほら… 『先生が好き、大好き』って言えよ…」
甘い、大人の吐息が、先生の口から漏れる。
喉がからからに乾いて、声が出ない。
心臓が締め付けられるように痛みを感じる