恋愛上等!イケメン学園[片思い編]
□素敵な片思い−6月/rain drops−
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−6月−
私が神蘭学園に転入してきてから、2ヶ月の月日が過ぎた。
ほぼ男子高の中に女子が一人だけという特殊な環境。
しかも寮に帰ればちょっぴり不良っぽい、やんちゃな男子に囲まれた生活。
初めは戸惑ったけれど、寮の仲間達や寮長である梅さんが優しくしてくれたおかげで、今ではすっかり学校にも寮にも慣れる事ができた。
(ていうか、それ以上に今の生活を楽しんでいるかも?)
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梅雨入り間近な6月の朝。
寮の玄関から一歩出て見上げた空は、いつ雨が降り出してもおかしくないくらいどんよりと曇っている。
灰色の雲に覆われた空を仰いで、私は深く息を吸い込んだ。
(ん〜、雨の匂い。空気がたっぷり水分を含んでるって感じ!お肌潤っちゃいそう♪)
空模様とは反対に私の気持ちは勝手にウキウキと浮かれ出す。
これから学校へ行くのだと思うと、嬉しくなってついテンションが上がってしまうのだ。
(今日は一時限目から化学だー!朝から先生の授業で嬉しいよぅ♪)
どやどやと皆が玄関から出てくる中、榊君がすかさず隣に並んで肩に手を回してくる。
「亜衣ちゃん、今日もすっごくかわいいね♪ちょっとだけ、抱きしめてもいい?」
「ちょ、ちょっと榊君!」
「あ!晃だけズルいし!俺も混ぜてよ〜♪」
便乗して吾妻くんが私の手を握る。
「ふん、お、女の体になんかベタベタ触りやがって。いやらしい奴らだな!」
龍海君が赤い顔をしてプィとそっぽを向く。
「さーかーきー!佑ー!」
水瀬君が榊君達に睨みをきかせると、あわてた二人がパッと私から離れる。
そんな毎日のやりとりにはもう飽きたとばかりにふあぁ、と藤堂君があくびをした。