恋愛上等!イケメン学園[片思い編]
□素敵な片思い−10月/love holic−
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10月に入ると、撮影もいよいよ大詰めだ。
自然に晃と2人でいる機会が増える。
ラストに向かって気持ちが盛り上がる所だから、擬似でもいいから恋人気分でいてと監督からも言われていた。
「すっかり秋らしい色になったね。」
私達は学校の裏手にある銀杏並木を歩いていた。黄金色の葉が風に踊ってカラカラと軽い音をたてている。
「そうだね。亜衣ちゃん、ラストシーンはここで撮影するらしいよ。」
「あー、ここいい!すごくキレイだし、きっといいシーンになるよね♪」
「まだ、最後のシナリオがあがってないって、田島が焦ってたよ。」
「もう少しで完成だから、頑張ろうね。」
私がそう言うと、晃は少し真面目な顔になって言った。
「…ねえ亜衣ちゃん、少しだけ、手を繋いで歩いてみようか?」
「えっ… 手は… は、恥ずかしいよ。」
(ごめん、晃……。私、先生の手の感触を忘れたくないの…。)
「でもさ、ラストシーンは手を繋いでこの並木道を歩くらしいよ?練習だと思って、ね♪」
「う、うん、わかった。じゃあ…」
私はおずおずと左手を差し出した。
すらりときれいな晃の手。繊細な心が手の繋ぎ方でも伝わってくる。
女の子にモテるのも、わかるような気がするな。
「ねえ、亜衣ちゃんって、好きな人、いるの?」
唐突に晃が聞いてきた。私は心臓がドキリと跳ね上がるのを感じた。
「え、どどどどどうしてそんな!?い、いないよ全然!!いないいない!!」
明らかに動揺してしまって、上擦った声を出してしまった。
「…そっか。やっぱりいるんだね。」
「いいいいないって言ってるじゃない!!(ブンブンブン)」
「…クスクス。まあ、いいか。その彼に飽きたら、俺と付き合ってくれる?予約させてよ♪」
「ええー、晃は女の子がいっぱい周りにいるからダメ!!
私、ヤキモチで寝込んじゃうよ。」
「うそー、亜衣ちゃんと付き合えるんだったら女友達全員と縁切ってもいいけどな〜。」
「ムリムリ!3日も持たないと思うよ?」
「ひどいな〜!チェ。」
私達は笑い合って並木道を歩いた。