恋愛上等!イケメン学園[片思い編]

□素敵な片思い−11月/moteki!?−
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学園祭で上映した映画は大好評だった。


ラストシーンを撮影した並木道は、一躍カップル達のデートスポットになった。


近隣の女子校からやってきた、晃と一緒に写真を撮りたい女子高生が行列を作った。


そして、私にも、なんと人生初のモテキがやってきたみたい。


今週だけでも、裏庭に呼び出されること4回、靴箱にラブレターで告白してくれた下級生もいた。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


「山崎さん、転校してきた時からずっと好きだったんだ。俺と付き合ってください!」


見た目こそ不良っぽいけれど、その告白の言葉はみんな真剣だ。


ドキドキしながらも勇気を出して言ってくれているのが伝わってくる。


(私も、先生を好きになって、真剣に誰かを想う気持ちがわかるようになったよ。


そして、想いが受け入れてもらえない辛さも、嫌というぐらい。)


(私を好きになってくれてありがとう…。でも…。)


「…ごめんなさい。


私、好きな人がいるんです。だから…


あなたとお付き合いするわけにはいかないけど、その気持ち、本当に嬉しいです。ありがとう…。」


私は、相手の顔をしっかりと見て、深々とお辞儀をした。1人1人、誠意を持ってお返事したいと思った。


「ふう…。」


男の子が帰ってから、私は空に向かって息を吐き出した。


ハッと気づくと、冴島先生が通りがかった所だった。


(今の、見られてたかな?どうせまた私の事からかうんだ!)


「よお、アクトレス。」


ニヤニヤとからかうように笑って、先生がそう言った。


(ア、アクトレスって!!完全にバカにしてる………ワナワナ)


「お前もモテて大変だな。こんなにモテるのも最初で最後かもしれないから、存分に堪能しておけよ。」


「そっ、そうですね!多分最初で最後ですから堪能させていただきます!!」


怒って帰ろうとすると、先生は私を呼び止めてこう言った。


「山崎!これからは、寮生の誰かと必ず行動しろ。


前にも言ったが、ここはほぼ男子校なんだ。1人で行動するな。油断するなよ。」


「ご心配なく!私のように色気のない女はそうそう狙われることありませんから!それではさようなら!!」


先生が何か言った声がしたけど、私はかまわず走り去った。


(かっ、かわいくない、私ったら…!!でもでも…)


先生なんて!!


私が1人でいると、いつもどこからともなくやってきて、絶対からかって行くんだから!!





もう、振り回されるのは嫌。



心をかき乱されるくらいなら、近づきたくない―――。

 
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