そして、後悔する

少女と少女
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少女は"凪"という名前だった
ケーキ屋に行くまでの道のりは長いようで短かった
その道を歩いている間はほぼ無言だった
最初に名前を言いあっただけ。ただお互い、隣を歩くだけ
ヒカリは喋るのは苦手ではないが、基本静かな空間が好きだ
一方、凪は喋るのが苦手だろうと思い、会話をしなかった
二人ともその空間は決して苦では無く心地の良いものになった




夕梨が行きつけのケーキ屋は勿論、”ラ・ナミモリーヌ”だ
お洒落な外装と内装で客が頻繁に出入りしている。それだけで人気店だと分る
斯く言う、私もその一人だ




《いらっしゃいませ》




可愛い制服を着込んだ店員さんが当たり前の様に挨拶してくれた
ケーキのショーウィンドーの前に並ぶ




凪「あの・・・私、お金持ってない」


『そーなんだ。何食べたい?』


凪「えっ!だ、だから・・・」


『じゃ、適当に選ぶね』


凪「あ、あの・・・」


『すいませーん!』


店員《いつもありがとうございます。》


『お勧めのケーキ、適当に15個くらい持ってきて下さい』


店員《(クスクスッ)また、ですか?》


『はい。席で座って待ってるので』


店員《かしこまりました。》


『あっ!あそこの席あいてる・・・行こう?』


凪「うっ、うん・・・。」




お互いが向き合う形でイスに座る
向き合って、確かに思う事は










―――――可愛いという事










京子とはまた違った可愛さで、私の心はメロメロだ
・・・私は決して同性愛主義者ではありません
可愛い子は、目の保養となるだけです
けど本当に可愛い。それは誰が見ても一目瞭然だろう




店員《お待たせしました》




『ありがとう。さっ!食べようか』


凪「え?」


『好きなのとって食べていいよ』


凪「あの・・・」


『気にしないで。私が勝手にしただけだから。さあ!』


凪「じゃあ・・・その苺の/////」


『タルトね。此処のケーキは何でも美味しいからね。』


凪「うん・・・(パクッ)・・・!おい、しいっ!!」




≪パァアア≫効果音を付けるとしたらこんなものだろう
彼女は忽ち笑顔になった。それに吊られて自然と口が緩む夕梨
夕梨もケーキを口に運び、他愛もない話を始めた




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