恋人になれなかった
□1.負けないくらい想ってたのに
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私には好きな人がいます。
同じクラスの山本です。
席が隣で、つまらない授業もすごく世界が変わってみえます。
けど、この恋は絶対に成就しません。
なぜなら・・・
「なぁ、雫。雨実先輩、俺の事どう思ってるんだ?」
そうです。彼の思い人は、私の姉。
たしかに、お姉ちゃんは顔もスタイルも私よりいいし、女の子らしさだって兼ね備えてる。
それに、野球部のマネージャーだ。
納得はしてるけど、簡単に割り切れない。
でも、私の推測だけど、きっと、うんうん。
絶対にあの二人は両想いだ。
『たぶん、両想いじゃない?』
「やりー!!俺、今日告白してみるよ。
サンキュ、雫!!」
『それは、付き合ってから言ってよね。』
ねぇ、神様、もしいたら二人の仲をぶち壊してください。
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あの発言が私の頭の中で駆け巡ってる。
そのあとの授業何て頭に入らなかった。
そして放課後。
私の席からは校庭が見える。つまり、野球部の野球をしている山本が見えるという事だ。
いつもは期待ばかりの放課後が今日はすごく憂鬱。
けど、告白するって言ってたから、部活中だと思う。
そんな光景を見たくないので大人しく帰った。
校庭を見ないように裏に回ったのにどうしてこうなったんだろう。
たった今、告白現場に遭遇した。
「俺、雨実先輩が好きだ!!」
「!?」
「付き合って下さいっ!!」
「・・・はい。私でよければ・・・/////」
告白してる・・・
嫌だ・・・
イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ
どうして?
どうして、私じゃないの?
お姉ちゃんより、私の方がずっと、前から山本の事が好きだよ?
なのに、なのに・・・
涙が止まらない。
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その後の事は覚えてない。
無我夢中で走って、走って、走った。
気づいたら自分の部屋だった。
それでも、まだ、涙が止まらない。
私は、ダメだったんだ・・・
ただ、山本の心の中にいるのはお姉ちゃんで、私はいない。
ただ・・・それだけ・・・
1.負けないくらい想ってたのに
(それでも、私は負けた・・・)