恋人になれなかった
□5.この想いを封印するよ
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あれからちょうど一週間。
雲雀さんとの約束(?)の日、返事をどうしようかまだ悩んでいる。
だって雲雀さん、すごく優しかったから。我ながら自分勝手だと思うけど・・・。
私の恋は叶わないのは知っている。その事は多分雲雀さんも知っている。
だからこそ、その・・・告白、したんだと思うし・・・あんな約束を持ちかけたんだと思う。
(難しいなぁ・・・)
雲雀さんの事も考えないといけないけど、今一番気になるのは、山本・・・。
そりゃ、アイツの事は好きだよ?けど、そういう私情を挟んだんじゃなくて。
あっちが、私の事をガン見してくる。自惚れとかじゃなくて、すぐ分る。
(一体全体何だって言うんだ・・・)
ハァ、この際山本の事は無視しよう。
今は雲雀さんの返事だけで頭がいっぱい何だから。
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・−山本SIDE−・
最近、雫の事が頭から離れないのな―
知らず、知らずのうちに目で追ってるし・・・俺、かなりの重症なのな。
けど、やっぱり雫は雲雀と付き合ってるみたいなのな。
(まぁ、実質俺も雨実と付き合ってるけどな・・・)
今は、本気で雨実と別れようかと思ってる。やっぱ二股は駄目だしな・・・
そして、遅いかもしれないけど雫に告る。結果は分りきっているけどな・・・
まずは、雨実と話をしなくちゃな。
―――――
【放課後】
今日は部活が休みだから雨実と帰る。その時にちゃんと言う。
(別れようって・・・)
雨実は分ってくれるかなぁ・・・当たって砕けろってな!!!
「武〜お待たせっ!!」
『ああ、大丈夫だぜ!じゃ、帰るか・・・』
「うん!!」
―――――
「それでね、社会の先生が『雨実』?何?」
『驚く、と思う。それでも・・・』
「どうしたの?武らしくない、何か悩みごと?」
『あのな、俺・・・好きな奴ができた。』
「っ!!??」
『だから・・・別れよう。』
「・・・イヤ」
『雨実?』
「イヤッ!!!絶対にイヤ!!!どうして?!私の事好きだって言ってくれたじゃない!!??」
『・・・雨実、俺は・・・』
「私は・・・私は絶対に別れない!!」
≪タタッ≫
『待てよっ!!雨実!!!』
≪タタッ≫
・−山本SIDE終了−・
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・−ヒロインSIDE−・
今、雲雀さんと帰ってる。この一週間ずっと帰ってからか、この空間にも慣れた。
雲雀さんは口数が多い方じゃないし、私も無理に話さなくていいって思うと結構楽。寧ろこの時間を気にいってる。
けど、それは【いつも】ならだ。私は今だ雲雀さんへの返事を思いついてない。私の頭の中はグチャグチャだ。
今は、この時間を満喫する余裕はない。一刻の猶予も無いのだから。
(どうすればいいんだろう。)
「ねぇ、」
『?何ですか雲雀さん。』
「答え、決まった?」
『・・・。』
「ハァ、その様子じゃ決まってないみたいだね。」
『・・・はい。』
「僕は君が好きだ。」
『えっ!?いっ、いきなり何ですか?!』
「だから、誰にも渡したくない。もちろん、山本武にも。」
『、やっぱり気づいてたんですね。私が山本を好きだってこと。』
「うん。君を初めて見たときから好きだった。名前も知らなくて、クラスしか分らなかった。」
『クラス?』
「2-Aで居残りしているのを見かけてね。
それで、君の事を知りたくて調べた。」
『・・・雲雀さん。それ、下手したらストーカーというなの犯罪ですよ・・・。』
「(ムッ)いちいち話の腰を折らないでくれる。」
『・・わかりました。』
「で、そんな中屋上で君と会った。君は今にも泣きそうな顔をしていた。」
『・・・。』
「そのあと、君の家に行って理由がわかったよ。君が泣きそうなのを誰も分って無くてムカついた。
あそこで咬み殺しても良かったんだけどね・・・面倒だからやめたよ。」
『お心遣い感謝します・・・。』
「僕はこれで全部。全て知った上で君に告白した。君が僕の事を見ないのも最初から解ってた。
今すぐとは言わない、ただ・・・今は僕の傍にいてくれないかい?雫。」
『私は・・・私はっ!!』
「待てよっ!!!雨実っ!!!」
『!?』
≪ガンッ→ドサッ≫
『いったっぁあ。』
「・・・雫?」
『おっ、お姉ちゃん!!!ってどうして泣いてるの!?』
「雨実っ!!っ!?雫・・・と雲雀・・・」
「(ムッ)どうしてここにいるの山本武。」
『どういう状況!?とりあえず、ここじゃ人目につくから・・・私の家に行こう!!!』
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【〜in雫宅】※「」の前に名前書きます。
『えーっと、二人はとりあえず話し合った方ほうがいい、と・・・思う。』
山本、雨実「「・・・。」」
雲雀「君達の事はどうでもいい。僕は今忙しいんだ。こっちはこっちで話したい事があるんだから。
行こう、雫。」
『あっ、私達(?)も大切な話があるから、上に行ってるね。
雲雀さん、私の部屋に行きましょう。』
雲雀「うん。」
―――――
『どうしたんでしょうね。お姉ちゃんと山本・・・。』
雲雀「興味無いよ。どうせ、ただの痴話喧嘩とかでしょ。」
『それもそうですね・・・。』
雲雀「それより、さっき何、言いかけたの?」
『えっ!あの/////・・・私で良ければって・・・』
雲雀「???本当に?」
『は、い。/////』
雲雀「(クスッ)じゃ、これからは僕が彼氏ね。」
『(コクッコクッ)』
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・−雨実SIDE−・
武がいきなり別れようって言いだした。
うんうん。本当は知ってた・・・武が別のヒトを見てるってこと・・・。
だけど、私は武が好き、大好きだから絶対に別れない。そう、絶対に。
「雨実、俺は『私は別れない。』・・・。」
『絶対に。たとえ武が違うヒトを見ていたとしても。私は認めない。』
「悪いと思ってる・・・けど!俺はもうお前の事を・・・愛せない。」
『誰・・・武の好きな人って誰・・・?』
「・・・雫だ。」
『!?・・・叶わないわよ。だって雫は雲雀さんと付き合ってるんだもの。』
「それでも、好きになっちまったんだ。」
『雫には伝えたの?その気持ち。』
「いや、まだだ。お前と別れたら言おうと思ってた。」
『そう、私絶対に武と別れないから。たとえ雫を好きでも諦めない。
今日はもう帰って・・・。』
「ああ。また、、、明日・・・。」
『ええ。』
≪バタンッ≫
武は私じゃなくて雫が好きだって?
・・・認めない。絶対に。私の方が武を愛してる、幸せにしてあげられるだから
この想いを封印するよ
(姉妹なんて関係ない。私は負けない!!)