僕らの生きる道

□私達の宝物
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『ねぇ滝くん、いつ着くかな??』

「瑠依、窓を開けないでください」

『滝くん、相変わらずお母さんみたい』

「あなたのせいでしょう」

全く、瑠依は私の言うことを全然聞いてくれない

しかし喜八郎に聞いたところ、それは私に対してだけだそうだ

それに、お母さんなどと言われ嬉しい訳ないだろう!!

『早く来ないかな、彼等』

「屋敷の敷地内は広いですから。いくら車でも時間かかるでしょう」

『あ、三木くん。おはよ』

「こんな朝っぱらから、尾浜先輩達はお迎えに行かれたのですか?」

『うん。後輩に会えるのが、よほど嬉しいみたい。楽しげに出て行ったよ』

いつの間にか、三木ヱ門が来ていた

幼くともマフィアのボスを呼び捨てなど、今でもおかしいとは思う

しかしこれは命令なのだから仕方ない

我々はここに来た時、呼び捨てで呼ぶ事、敬語は使わない事、と言われている

百歩譲って呼び捨てだが、敬語を使わないのは無理だった

喜八郎などは構わずため口だが…

「瑠依ー、朝食の準備出来たって」

おお、噂をすれば喜八郎の登場か

お前は瑠依と友達か…

『喜八郎くん、おはよ』

「瑠依ちゃん、髪はどうする?」

ひょこっと喜八郎の後ろから現れたのは、タカ丸さん

瑠依の世話係りはこの4人で行っている

『んーと、今日は彼等が着いたら歓迎会だから…。低めの2つ縛りがいいな』

「了解〜」

てきぱきと瑠依の髪を結っていくタカ丸さん

瑠依の髪は私達の手入れのお陰で、今日も綺麗だな

『ねぇ、みんな…』

「なんですか?」

『彼等は、私を恐れないかな』

ああ、またこれだ

瑠依は幼くしてマフィアのボスになった

それ故に、反発する者も相当いたらしい

そんな幼少期を過ごした瑠依は、少し人見知りなところがある

毎年学園から何人か雇うが、最初はいつも不安を抱えている

「大丈夫。あの学年は変わった子が多いから」

力強く答えた喜八郎

それに続く、三木ヱ門とタカ丸さん

「個性的な奴等ばかりだから、一緒にいて飽きないですよ」

「そうそう。それに、戦闘に長けている子ばかりだよ」

『そうなんだぁ〜』

不安気な顔を、少し柔らかくした瑠依

「今までも大丈夫だったでしょう? 瑠依を恐れるくらいなら、始めからここには来ないですよ」

『そうかな…。でも、そうだといいな…』

いくら知識や実力があったとしても、やはりまだ16歳

弱いところ、脆いところはたくさんある

共に過ごしていくうちに、瑠依の戦闘中の姿を見ることも出てくる

始めは驚いた

自分よりも年下の少女がこんなに戦えるのか、と

しかしまた弱さや脆さも知っていたから、守りたいとも思った

それは多分、私だけでなくこの屋敷にいる者全員がそうだと思う

この小さな少女が、私達はとても大切なのだ











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