僕らの生きる道
□様々な戦い方
1ページ/3ページ
(やっぱり、強い……)
十分に、兄の強さは理解しているつもりだった
けれど私の認識が甘かったことを、すぐに思い知らされた
「椎名を出てから、馬鹿みたいに呑気に生きてた訳じゃねーんだ」
そう言いつつ、全く動きを止めない
それでもこの部屋の中が然程荒れていないのは、兄の戦い方が綺麗だからだろう
無駄な動きは一切見せず、確実に私だけを狙おうとする
速さは、ギリギリで私の方が勝っている
それは速さには自信があるという仙蔵くんや兵助くん達とトレーニングを積んで来たから
力は私の方が劣っている
小平太くんや八左くんなら負けないだろうけど…
「瑠依、俺達と一緒にならないか?」
『まだそれを言うの?』
「だってこんな戦い、不毛だと思わないか?」
『私は私の仲間のために戦う。自分の居場所は、自分で守る!』
「そうか…。残念だな」
ほんの一瞬だけ、兄が寂しげな表情をした気がした
でも本当にほんの一瞬だけで、気付くと兄は私の目の前にいた…
.