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□保障された悲劇
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保障された悲劇
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これはとある3人を中心とした過去の記録である。
「おい、左門。三之助。お前ら、いつもどこかに行くんじゃねえ!」
長い髪の毛をなびかせながら猛ダッシュしやがる。
その横でニヤニヤした面でこちらを見ながら走る馬鹿。
そして俺は縄を持って二人を必死に追いかけてる。だが追いつかない。
後、少しなのに走っても走っても追いつかない。
そして何時間も過ぎて日が暮れた頃。
俺は走る足を止めた。息切れが激しかった。
「はぁ…はぁ…はぁ。」
地面に座り込んで「畜生」と俯いて言った。
俺は何の為にあいつらの面倒を見てるのでしょうか。
クラスメイトだから?同級生だから…それともかけがえのない親友だから?
答えは見つからない。でも今は走る事をやめたくなってしまった。
「学園に…帰ろう。」
そう呟いて俺は学園へと足を運んだ。

「おばちゃん、俺Aランチでお願いします。」
今日もいい朝だと思いながら。食堂のおばちゃんにAランチを頼む。
おばちゃんは「あいよ」といって俺にAランチを差し出す。
その食事を受け取り席を探すと、あの二人の姿はなかった。帰ってると思ったが。
そういや。今朝も居なかったな…と今朝の事を思い出す。それと昨日の夜の事を思い出して。
吐き気を起こしそうになる。薄情だったかな、少しなんて思いながら、すぐそこの席に座った。
「ん、お前は3年ろ組の富松作兵衛だったな。おはよう」
そこに座って居たのは6年い組で会計委員会委員長の潮江文次郎先輩だった。
「あ、潮江先輩。おはようございます。」
そういうと先輩は少しうなずいた。そして口を開いた。
「昨日。委員会があったんだが。左門だけは来なかったのだが。知らないか?」
先輩は俺の顔を真剣な表情でじっと見た。だけど本当の事を言う勇気がなかった俺は…。
「知りません。」
平気な顔して嘘を吐いた。そんな自分に吐き気所か憎悪すら感じた。
俺は考えて考えて。あの二人を探しに行こうと決心した。
あの二人は俺にとってかけがえのない親友だったからだ。
昨日見捨てた事…謝りたい。
その日の夕暮れ頃。俺はまたあの二人を探しに縄を持って走った。
走って走って。やっと見つけた…でも二人は既に。
動かない体となっていた。
その場で俺は泣き崩れた。
「左門…さんのす…け。あ、はは。し、死んで…?」
ずっと「嘘だよな。嘘だって言ってくれよ」と狂ったように二人の動かない体の横で呟いていた。

そして俺は気づけば寝てしまっていた。だがなぜか体には誰かの体温が感じられた。
「…ん…あ、さ?」
「おお、さくべー。やっと起きたのか?」
「作はやっぱ、寝坊するのだけなら得意だよなあ」
聞きなれた声が聞こえた。二人の声だった。
「さも、ん。三之助…か?」
そう呟くと二人は「何言ってるんだ」と声をそろえて言った。
馬鹿みたいな顔して俺を見る。ああ。何だ昨日のは夢だったんだな…。
「あ、いや。気にするな。変な夢を見ただけだ…。」
そういうと二人は意味深な言葉を放った。
「作兵衛。大丈夫だ。夢なんかじゃないぞ。…さよなら。」


「…べ。…べえ…作兵衛!!!!!!!!!」
ハッ!と俺は目を覚ました。目の前に居たのは食満先輩だった。
「け、け…ま先輩?」
「ああ、そうだ。俺がわかるんだな。」
「は、はい。まだ頭はフラフラしますが…どうしたんですか、俺。」
先輩が言うには俺はとある場所で倒れていたそうだ。
散々泣いたような後が顔にあったと言っていた。見つけてくれたのは食満先輩と善法寺先輩らしい。
俺は嫌な予感がした。そのせいか背中に悪寒が走った。
「せ、先輩。……左門と三之助…は…?」
先輩は驚いた表情をして。悲しげな表情で言った。


____死んだよ。お前が倒れていた場所でな。
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(俺はまた。泣き崩れ、叫んで叫んで。崩壊した)

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