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□鈍感な熊の話
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鈍感な熊の話
狐さんと熊さんのバレンタインの話。
「__というわけで、ここは来週ここはテストに出るからね。」
黒板に綺麗な字で黒板を書いていく。文字なんてのはどうでもよくて。
背景にしか見えない物なんてどうでもよくて。
ただ、アイツが見れればそれでよかった。そう感じながら眺めていたら。
授業の終了の鐘がなった。クラスの全員は「終わったー」だの「先生うざ」など
いろんな事をいっていた。そんな時クラスの女子の一人が小生に近づいてきた。
「あ、あの…黒田くん。こ、これ、よかったら!」
そういって綺麗にラッピングされた箱を手渡してきた。
流石に無下に断るのも気が引けるので、それを受け取ろうとした所。
「学校にお菓子類は持ち込み禁止だよ?」
そう言ってアイツがその女子から箱を取った。憎たらしい笑顔でな。
その後先生は教室を出て行った。
女子は友達に囲まれて「あれはないよね」とか悪口を言うだけだった。
その日の帰り。面倒くさい学科も終わって。クラスの中に自分だけになったところで
さあ、帰ろうかと思いバックを手に取ったら、アイツにあげるはずだったチョコを思い出した。
市販のチョコとは言えどこんなに可愛くラッピングされたものを渡すのは可笑しいだろうか?
など考えていた。その箱をバックから取り出してそれを眺めていたら急にガラリとドアが開いた。
「黒谷くん。何をしているのかね?」
アイツだ。にやにやしながら近づいてきて箱を取り上げて箱をジロジロと見ている。
「なんだよ…小生が持ってたら可笑しいか?」
少し拗ねたようにいってみたら、アイツは口元を笑わせて言う。
「いや、ね。可笑しくはないけど。あ、そうそう。お菓子類h…」
「駄目だっていうんだろ?別に没収されても構わないぜ?どうせ、あげる奴も居ないしな」
そういうと。少しばかり目を逸らしたような気がしたんだ。気のせいならいいんだけどな。
「黒谷くん。没収じゃなくてこのチョコ貰ってもいいかね?」
「はぁ?」
思わず声が出た。何が楽しくて男のチョコをほしがるんだ、コイツは。
アイツは俺の机の椅子に勝手に座って。いきなり話を振ってきた。
「我輩はバレンタインなんて嫌いだよ。本命からチョコを貰えないならなおさらだよ。
 貰えるなら、まだしもいいものを。どうせ…義理なんだからね。」
「ふうん…お前さん。好きな人居たのか。どんな女だか知らないが、貰えるといいな。」
俺は少し皮肉を混ぜていった。好きな奴…か。胸が痛くてしょうがない。ズキズキしているのがわかる。
その場から逃げ出したくなるほどだ。やっぱり男だもんな。無理に決まってたんだ。
「女?我輩は一言も女だなんて、言ってないよ?」
「じゃあ、男だっつーのか?」
「まあ、男っちゃ男だね。…ただ、鈍感だけどね。」
少しはにかんだ表情でそう言う顔を見て少し胸がときめいた。
まあ、小生とは違ってイケメンで頭のいい奴がいいんだろうな。あの男みたいな奴がな。
「ふうん。で、どんな奴なんだよ、そいつ。」
「馬鹿で。大きくて。優しくて。ありえないほどに不運な子だよ。
 どうしてだろうね。そんな人に惚れるほど我輩は優しくないのだがね。何故か惹かれた…のかな」
「小生より不運なのか?」
そう問いかけたら少し不機嫌な顔をされた。
アイツは「君は何でそんなに鈍感なのかね?」と言った。
「は…ぁ…?!」
そういった後怒りながら教室を出て行ってしまった。
残ったのは悲しい気持ちと少しの希望だけだった。
__ 二 人 が 結 ば れ る ま で 後 一 週 間 ?

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