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□「ウソ」ならどんなにいいだろう
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「ウソ」ならどんなにいいだろう
「...春日部さん、」
斑目は窓辺から外を眺め、ぼそりとつぶやいた。
その独り言は笹原に聞こえていた。”春日部さん”という言葉が彼の声でリピートされた。
”春日部さん”がもしも自分の名だったらどんなにいいだろうか。
わかっていたはずなのに、何で。何でその呼ばれた名前が自分ではない？そんな思いがこみ上げる。
どんなに愛してもだめ？ こんなにも愛してるのに、想いは届かない？ どうすれば、届く？
ああ、拒否られることがわかっていて、告白しろとでも言うのだろうか、神様は。
言っても、「ごめんなさい」のパターンだ。そうだ、絶対にそうだ。
でも、想いが一生届かないままなんて嫌だ。でも、拒否されることがわかっていて、告白するのもいやだ。
どうすれば。斑目にこの想いが届く？
...笹原は斑目の耳元で囁いた。
「愛してますよ。斑目さん。」
（ 君 の 一 番 に な っ て み せ る ）