三蔵×悟空 −原作沿い−
□★好き過ぎて★
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「さんぞーっ!」
「やかましい!そんな叫ばなくても聞こえる!!」
寺院では、相も変わらず生臭坊主とバカ猿のやりとりが繰り広げられている。
「な、三蔵!」
「だから、何だ。」
「きす、して!!」
三蔵は書類から目を離さず、バタバタと走って来、唐突にキスをねだる悟空の無垢な瞳を想像する。
「悟浄にでも頼んだらどうだ?」
「三蔵は、俺が悟浄とキスとかその先とかしてもいいのかよ!?」
涙目でそう叫んだ悟空に、三蔵の眉間の皺が二本増えた。
判子を押していた腕を止めて、悟空を一瞥する。
「何だと?」
「…三蔵は、分かってないよ。」
「人語話せ、バカ猿。」
悟空は瞳に一杯浮かべた涙を堪えながら俯き、小さく口を開いた。
「好きだって、言ってんじゃん。ほんと、大好きなんだって。なのに…っ」
だんだん止められなくなってきた涙を拭うこともせず、悟空は三蔵を睨んで「三蔵のバカ!!」と叫んで部屋から出ようとした。
と。
「待て。」
悟空の左腕をしっかり握って、紫闇の瞳で大地色の瞳を見据える。
「な、んだよぉ…っ!」
「勝手に好き放題言ってんじゃねぇよ。」
そう言って三蔵は力任せに悟空を引き寄せ口付けた。
「ぅん…っ!?ん、ぅ…っ、ぁ、んはっ…っ!さ、んぞ…?」
口腔を思う様三蔵の舌が蹂躙している感覚ばかりが頭を白くする。 唾液が交換される感触が気持ちいい。 飲み込み切れなかった唾液が顎を伝い、首筋に伝う。
「一度しか言わねぇから、よく聞きやがれ。」
「ふぇ…?」
「愛してる、悟空。」
「さんぞ…?」
キスの余韻が消えない内に愛を囁かれて、悟空は戸惑う他無かった。 ただ、「マヌケ面」と笑った三蔵の顔が今までで一番優しかったのは覚えている。