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□灯を点す
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ぐるぐる。
頭の中を回る、廻る。




布団で、寝返りを繰り返し。
廊下から ほんのり、橙色の明かりが揺れる。
遠くから動物の鳴き声か聴こえる。いえの軋む音も。

(… だめだ)


布団から出た。上着を羽織り廊下に出て、右に曲がって、すぐ。
春水さんの部屋。

部屋からは、明かりがもれている。まだ、執務をこなしているのだろうか。
そろりと、襖を開ける。

「春水さーん…」


こちらをチラリとみて、春水さんは「ん?どうしたんだい」と微笑んだ。

筆をおき、肩を揉んで 伸びをする。
「そろそろ、寝るかね」

布団を整え、毛布をめくる。

「おいで」

髪を解いた春水さんは、自分の隣をポンっとたたいた。

「寝られないんでしょ、ほら」
「うん」

「試験が不安?」

「うん」

春水さんの鼓動が聞こえる。私の頭と、春水さんの胸が触れているから。
サワサワと、春水さんの手が、私の髪をなでる。
私は眼をとじて、その感触をあじわう。体が、あたたかくなっていく。

「そんなに心配しなくても、キミなら大丈夫だよ」



灯を点す



121020

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