BOOK
□No.11
1ページ/3ページ
「あらゆる攻撃をそのまま相手に返す能力、だったか?」
フフフッ。なんて嫌味ったらしく笑いながら、ご丁寧に私の能力を説明するこの男はきっと…全て気付いてる。
「つまりは、お前の頭に銃弾をブチ込めば、逆に自分の頭がブッ飛ばされちまうって訳だ」
それだけじゃないって…コイツ絶対気付いてる。
“ズキッ…”
そう、未だ痛むこの左腕の傷の理由も。
「リスクを犯さなきゃ首は刈れねぇって事は…普段はお前自身も、相手に攻撃を仕掛けれねぇって事か」
便利なのか不便なのか分かんねぇな。なんて涼しい顔で続けるトラファルガーとは逆に、きっと今の私の顔、最悪だ。
この瞬間も…冷や汗が背中を伝ってる。
「で、そのリスクってのは大方…」
『ッ…』
静かに近付く奴の足音に、身体が強張る。
「その過度な貧血と…この傷が関係してるんだろ?」
そう確信めいた言葉を寄越されたかと思えば、次の瞬間、パシッと刺青だらけの腕が私の左腕を捕らえた。
『………』
私は未だ何も言わない。否、言えない…全て正解だから。
トラファルガーもその無言を肯定と捉えたらしく、フンッ。と軽く鼻で笑い、私の腕をポイッと解放した。
「だが、お前の能力は痛みを伴う攻撃のみにしか対応しない様だな。あぁ、あと…身体に有害な事象にも有効…」
だよな?ってまたあの笑い方。全てを見透かしてるような意味深な…しかも今回は心底楽しそう。
コイツ…私が倒れてる間に、治療以外の“何か”もやりやがったな…?
人の身体で遊びやがって。本当どこまでムカつく奴なんだよ。