BOOK

□No.11
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ホッとした瞬間、私は再び睡魔に襲われ…何やらより一層ベッドへと体が沈んでいく様な感覚に陥った。


そんな私の様子を見て大人しく寝ると判断したのか、トラファルガーがドアへと進む気配が届く。


落ちつつある意識の中、私は最後にどうしても聞いておかなければならない“あの質問”を思い出し、遠ざかる奴の背中を呼び止めた。


その声を受け、ドアノブに手をかけたまま振り返ったアイツを確認して…私は緊張のあまり、ゴクッ…と唾を飲み込んだ。


私が発するその緊張感が伝わったのか、奴の顔にもスッと影が落ちる。 


そして…


「…なんだ」


この船の全てを統べるその男は、ドアノブからゆっくりと手を離し、再び私へと向き合った。


『正直に答えて…』


絡む視線に緊張が伝う。


「さっさと言え」


奴がちゃんと聞く姿勢である事を確認し、私が恐る恐る投げ掛けたのは、ずっと気になっていたあの疑問。


『…例の白熊の中の人…オッサンだったり…しないよね?』


「…………は?」


あ、初めてコイツの抜けた表情見た。崩れた顔すら整ってるって何、嫌味?


ボーッとしながらも、初めて崩れたそのポーカーフェイスを観察してたら、アホな事言ってねぇでさっさと寝ろ。なんてため息混じりに言い、奴は今度こそ部屋を出て行った。


そっか、うん…そうだよね。



とりあえず一安心



(良かった。あのモフモフの背中にジッパーはついてないのね……グーッ)

(フフッ…やはり面白い女だ)
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