BOOK
□No.27
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足元に転がっているナイフ男を跨いで私は船の奥まで進んだが、その後敵に遭遇する事は無かった。
なんだ…つまんね。
上げきったファスナーを弛め、踵を返し甲板へ出る。
外も既に粗方片付いてるらしく、残るは相手の船長らしき強面の男と、大きな斧を振り回すデブ男だけのよう。
んーあの2人…それなりに強いな。
強面男の相手をするのは、余裕面で適当に遊んでるロー。
片腕ポッケに突っ込んだままだし…反対に強面男は、この場からでも分かる程に息も切れ切れ。
デブ男の方もシャチが相手をしていたので私は傍観を決め込み、ピョーンと黄色いサブマリンの甲板へと戻れば、そこではペンギンさんが暇そうに大きな欠伸を溢していた。
『残りはあれだけ…ですか?』
「ん?あぁ、そうらしいな。つまらん戦闘だったよ…さてっと、敵船散策にでも行くかな」
そう言って伸びをするペンギンさんは傍観すらしないらしい。
『あまり詳しくは見てないけど、宝物庫より、食糧貯蔵庫の方が大きかったですよ』
「おッ、それなら少しは良い酒が有るかもしれないな…ミラーはどうする?」
『私はこっちにいます』
それじゃまた後でな。って挨拶をしてきたペンギンさんを見送り、戦場へと振り返る。
「お前今まで何処に居た」
『ひッ?!』
するとそこには、いつの間にか戦闘を終えたらしいローが腕を組んで立っていた。
…クソッ!!また能力分かんなかった!!
『シ、シャチ遅いね?ちょっと見て来る!!』
今度は私がはぐらかしそのままダッシュ。
「ったく…」
だって何だかロー機嫌悪いしッ。
私がシャチの元へ着くと同時…コッチも勝負がついたらしく、肩で息をするシャチが、お〜ミラー。と手を挙げてきた。
何か満身創痍だなシャチ…そんなに手こずったのか?
傍らに倒れているデブ男からシャチへと視線を戻したその瞬間…先程は確認出来なかった、嫌な黒い影が視界に入った。
『ッ?!危ないッ!!』
「え…?」
うん…終わったと安心して気を緩めきっちゃってたね。
膝に手をつくシャチの背後へ、あのサーベル男が現れ得物を降り下ろした瞬間…私は反射的にシャチを突飛ばしてた。
死なないで
(ミラーッ!!!!)