BOOK

□No.32
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“ムニュッ”


「「「なッ?!」」」


…………俺達の時間が止まった。


「おぉーおみぇえ、意外とあんらな」


あろう事かシャチが…ミラーの片乳を鷲掴みにし、揉んでいる。


あまりの衝撃にこの場へ居合わせた皆一様に思考が停止している様で、誰一人として動かなかった。


“ムニムニュ”


あー…思いっきりいってるな、ありゃ。


『……テッメこのヤロォォォッ!!いつまで揉んどるんじゃぁぁぁ!!!!』


“バキッ!!”


皆呆然と言葉を失っている中、ミラーがシャチの頬へと綺麗な右ストレートを放ったその瞬間…


『ぶごッ?!』


ミラーの方がブッ倒れた。


どうやら自分の能力を完璧忘れていたらしい。それは酔いのせいか、怒りのせいか…


その光景を見てクルーがまた腹を抱えゲハゲハ大笑い。


まぁ…グーでいったからな。相当痛かっただろうに…


「ROOM」


あぁ、今回は終わったな。俺は知ーらね。


再度隣から響いた、より一層低さを増したその声に、俺は完璧傍観を決め込み手元の酒を飲み干す。


シャンブルズ。と、船長はまず横にあった酒瓶と、気絶したミラーを入れ替え、その後寝ているクルー共々シャチをバラした。


あー…ありゃ完璧とばっちりだな、御愁傷様。


その後船長は俺と残ったクルー数人に、バラした身体をそこら辺に吊るしておけ。そう命じミラーを担いで行ってしまった。


とりあえず俺等は言われた通りにし、バラされた首は寝室へ投げ捨て、いつの間にかイビキをかいて寝ているシャチの生首にそれぞれ一発ずつ入れ眠りについた…


――――――----


全く…シャチも馬鹿な事をしたもんだ。まぁあいつの事だ、下心があった訳では無い事ぐらい分かってる。


…とりあえずは船長を起こさなくてはな。


「船長、起きて下さい」


はぁ…これで起きてくれたら苦労はしねぇか。


当然の如く目を覚まさない船長に、酒瓶没収しますよ…シーツを剥ぎながら静かにそう言えば、やっと薄くその目が開いた。
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