BOOK

□No.38
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『ロー…ペンギンさん、大丈夫?』


「今度はミラーか…あぁ大丈夫だ、煙を吸っただけで外傷もねぇよ」


だから心配すんな。って言って私の頭へ手を伸ばしてくるロー。


『…うん』


ローに頭をポンッポンッとされれば、何故だかそれだけで、本当に安心出来てしまう…ローの手は不思議だ。


「お前、俺の後を追って飛び込もうとしたらしいな」


そう目の前の男が私に向かってニヤニヤニヤニヤ…あれ、何かこの顔ムカつくぞ。


『ペンギンさんの姿が無かったし、1人より2人の方が良いと思って』


そう伝えればローは何故か眉間に皺を寄せ、ベッド脇の椅子へと戻って…えぇー?何故ここで不機嫌に?!


それから…そう不機嫌なままの声色で続けるローに、ビクッと肩を震わせる私。


「雨の時は無闇にストックを使うな。今日みてぇな日には特にだ」


流されちゃ意味ねぇ。なんて呆れるローへと素直にゴメンナサイ。


確かに、あの時田舎ッペ大佐にストックを使っても、暴雨にかき消され届かなかっただろう…


『……ねぇ、ロー?』


「なんだ」


『いや、あの…その…うん』


鋭い視線を寄越すローにモゴモゴしてると、さっさと話せ。って怒られた…モゴモゴ。


『なんで…何でそんなに私に良くしてくれるの?その…私、ただの居候…なのに』


あぁ、何でこんな事聞いてんだろう…きっと自分の首を締めるだけなのにさ。


「………さぁな」


『え?』


「…気紛れだ」


『ッ………』


ホラやっぱり。


私…何て言ってほしかったのかな…?


『………』


クルーだって…言ってほしかったの?


『………』


駄目だやっぱ落ち込む。


必死に平静を装う私に、ただ。とローは更に言葉を続ける。


「クルー共がお前をえらく気に入ってるんでな。仲良くしてやれ」


『へ…?』


フフッ。なんて柔らかく笑ってローは再びペンギンさんの容態を確認しだした。


…何だ……私も、信頼されているんだ。


(ミラー)


(ミラーちゃーん)


(おーいミラー)


クルー同士とは違う形かもしれないけど…でも、皆にちゃんと私を認めてもらえてる。


(仲良くしてやれ)


…そう言われた気がするよ。


『ふふふ…』


何だかさっきまで淀んでた気分が晴れて、何故か泣きたくなった。



私らしくいこう



(最後までこの船を満喫しようッ!!)
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