BOOK

□No.40
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「簡潔に述べましょう。ラーク・ロイドの名は“ロイド”じゃない」


船長は黙ったまま俺に目をやる。


「正しくは“ラークロイド”が姓です。海軍共が何処かで勘違いし、姓を2つに分け、それが世に浸透してしまった」


俺はここで一息つき、改めて船長と向き合った。


「そして奴の名は…“ジロンギー”。正しいフルネームは、ラークロイド・ジロンギーです」


「ッ……?!」


いつもの船長の涼しい表情が崩れる。流石に、多少は驚きの事実だった様だ。


「ジギー…これはジロンギーの愛称だと、思います」


俺の報告に船長が盛大なため息を吐く。その表情はもう元に戻っていた。


「…で?それだけじゃねぇんだろ?」


今度はダルそうに帽子を脱ぎ、頭を掻きながらそう尋ねる船長に俺は軽く頷いて見せる。


「…あの海軍船の記録に、最近“解体師”が“首刈り”の居場所を尋ね周り…その都度海軍、海賊訪わず船を潰し回ってるとありました…」


「…お前まさか、この船が潰される心配でもしてんのか?」


「そうじゃないッ」


すぐさま否定的な声を上げる俺を、船長は相変わらず冷めた面を浮かべたまま見つめていた。


「奴の目的はミラーだ。奴がミラーを見付けた後の行動は分からない…だが、今接触するのは得策じゃないだろう」


俺の説得に船長は何も言わない。


「奴がミラーを生かす気にしろ殺す気にしろ…まぁ、あなたが今、ミラーを手離す気があるならば、話は別ですが」


その言葉に船長はゆっくりと帽子を被り直し、結局何も言わぬまま静かに部屋を後にした。



答えは…



(まぁ…聞かなくても分かるがな)

((手離す気など無い))
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