BOOK3
□No.33
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「はぁ…で?何が知りたいって?」
結局…青雉が私の質問に答えるって事になり、室内じゃ狭い…と、私達は外に立ち並ぶ楓を目指した。
相変わらずダルそうに樹の幹にもたれながら胡座をかく、肩書きは“海軍大将”なんて恐ろしい筈の男を見つめる。
『…本当に私達を捕まえないの?』
ローと共に、その正面に少し距離をとって私達も腰を下ろす。すぐに動ける体勢で。
「まぁ、俺は海軍でお前等は海賊だが…何だ、ほら。面倒くせぇし」
連行する船もねぇしな。そう言ってアイマスクを目に当て始めたこの男に、慌てて掴みかかる私はもう我慢の限界!!
『ちょ?!てっめ、寝る気満々じゃねぇかよ!!ジイさんとジャンケンして負けたんだから、責任持って私の質問に答えやがれ!!』
怒りのあまり、ガクガクとこのふざけたトーテムポールを揺さぶっていると、ローに首根っこ掴まれ引き戻された。
「安心しろ。俺の眠りは浅い…」
いやいやいやッ!!そう言う問題じゃなくね?!視覚的な問題だろッ!!本気でブッ飛ばすぞテメェ!!
「シャラクもとんだお転婆に育てあげちゃったね全く」
ゼーハーゼーハー肩で息をする私に、チラッとアイマスクを持ち上げた青雉が言う。
『はぁ…私の両親が元海兵って、本当?』
とりあえず話を進めようと、私から切り出した。
「そうだな。2人共、元海軍中将。因みにシャラクも元中将」
『ッ?!』
中将って…どんだけ偉かったんだよ?!マジで?!大将の1級下なだけじゃん!!私の両親すげぇ!!
「まぁ…センコウが元海兵っていうのは、相当古株の中将以外、大将以上の奴等しか知らん情報だ」
『えッ、中将だったのに?何で?』
そんな事ってあるの?
「あの2人は将校になってからは、表舞台に出なかったからな。当時中将だった俺も、その存在は知らなかったが…噂はあった。不気味な牙を持つ悪魔がいるとな」
姉ちゃんのソレの事だ。そう言ってアイマスクを外す青雉。最初から外しやがれモジャモジャトーテムポール。
『何故海軍を抜けたんですか』
「んー、そりゃ2人にしか分かんないでしょ」
ただ…と、少し上体を起こして、頭をポリポリ掻きながら青雉は続ける。
「シャラクはあの2人と同期ってのもあって、秘密裏に動いていた奴等とも繋がりが切れてなかったようでな。2人の裏切り行為が許せず、単独でセンコウを追ってたみてぇだが」
『なんの為に…?』
何となく、その答えは分かってた…でもそれだと、どうしても辻褄が合わない。
「勿論消すためだ。シャラクはサカズキと同じ正義を掲げてたからな…」
青雉が吐き捨てる様に答えた。サカズキ…“赤犬”か。
「センコウ共は海軍という組織、そしてその内部情報を知りすぎてた。政府としては、生きててもらっちゃ困る訳よ」
だから元海兵というのを伏せ、犯罪者として賞金首にした。青雉がそう説明するも、やっぱりシックリこない。
「…なら何故、奴はそんな犯罪者の血を引くコイツ等を育てた」
ローが尋ねる。そう、私もそこが引っ掛かっていた。