BOOK5
□No.24
1ページ/3ページ
「今更言ってもしょうがねぇだろ」
はは、ははは…雑用って…何すんのかな…普段シャチがやってるような事…?
「いやそうなんだが…とりあえず、余ってるツナギを出そうと思ってるんですが、サイズが分からない。連れて行っても?」
書庫の整理…重いから嫌。帆の補整…細かい作業嫌い。機関室の整備…なんか壊しそう。風呂掃除…風呂掃除は楽しいから良いか。
「俺のコートで良いじゃねぇか」
ってか普段からそれ等の事やってるシャチは、別に罰でもなんでも無いんじゃないの?それってズルくね?
「着いてからはそれで良いでしょうが、船内では動き難いんじゃないんですか?」
ここは8割方シャチに任せて、私は洗濯と掃除中心にチョチョチョーッとやって昼寝して、夕方残りの作業やって…
「お前はどうしたい。自分で決めろ」
いや、やっぱ堂々と昼寝するのは不味いか…ベポを買収して、ローを宥めてもらうってのも手だな。アイツちゃっかりベポに甘いし。
「おい聞いてんのか」
確か部屋にチョコが…あ、駄目だアレ溶けてアメーバみたいな形になっちゃってたんだった!!ローの目を盗んで昼寝…でもバレた時ヤバいよなぁ。
「………ROOM」
そうそう絶対こんな風にヘンテコなサークルが伸びてき……へ?
『ぬわがな?!なに何?!なんすかッ?!』
現実に戻った頭で認識出来たのは、とりあえずローがスッゲェ機嫌の悪い極悪スマイルで、今にも私をバラそうとしてるって事…その理由は不明!!
「今すぐ選べ。選ばねんなら島に着くまでそのままで居ろ」
冷たい目で口元だけ笑ったローに、選べって何を?選択肢は何がありますか?なんて聞いたらきっと…いや今はそんな事より、まず選択肢が何か考えよう!!
えっと確か、私達の罰が決まって次の島まで半月で…そのままでって事は多分…
『ひ…昼寝有りパターンで、お願いします?』
“……ピキッ”
うわ違った!!ボコッて、ボコッて額に血管が!!
『ごめんなさいごめんなさい選択肢って何ですか教えて下さい!!』
キャーッ!!本当ごめんなさい!!そんな目で私を見ないで仕事内容についての質問だと思ったのー!!
「…仲良くじゃれてる所悪いが、俺も暇じゃない。とりあえず一回着てみるのが早いだろう」
なんとかサークルは消してくれたけど…目の前に威圧感タップリでしゃがみ込み、片手で私の頬を、ブニッ!!ってタコプーみたいに挟み込むローを見て、ペンギンさんが呆れ気味にそんな声を寄越してきた。
ペンギンさん、この状態は“仲良く”って言わないです…私されるがままの人形です。いや“下僕”です!!
「馬鹿な脳内変換しねぇで、ちゃんと話を聞けるか」
『あぶぃ』
「…あぁ?」
うわまたピキッってなった!!ヒィ!!
ローが妖しく笑いながら聞いてきた言葉に対する返事は、はい。のつもりだったんだけど…グイッとタコプーのまま持ち上げられた私の口から漏れたのは、何とも馬鹿にした様な声…これは私の意志じゃねぇよ?!
鋭い眼差しを受けながら弁解するかの如く、コクコク必死に何度も頷いて見せれば…やっとローはその手を離してくれた。
ふぅ…今までは海楼石無かったから余裕かましてたけど…これからは少し考えて行動しないと、いつか絶対ルフィ並みに頬っぺ伸ばされる…自重しよ。
とりあえずまずは行くぞ。そう言って付いて来るよう促してきたローの後ろを、ペンギンさんと肩を並べ黙って大人しく歩いた。