BOOK

□No.2
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程良く賑わう街中の、とある市場。


普段は商いに精を出す店主の呼び込みや、子供が行き交う中発する笑い声で溢れているこの場所も…


『だーかーらぁーッ!これは私が先に見つけたんだってば!いい加減諦めなって!』


「はぁ?!これは俺が先に手を付けてただろ!お前こそ諦めて他を探しやがれ!」


今日に限っては、少し違う賑わいを見せていた。


『他ならとっくに行ったっての!この店で最後、そんでこれが最後の一個!』


少女は、身の丈程の得物をその背中に担ぎ…


「なら尚更譲れねぇよ!これ持って帰らねぇと俺が船長にバラされる!」


少年は真っ白のツナギに、帽子とサングラスという出で立ちであった。


『そんな事知らないよ!私は今!これが無いと死ぬの!良い?死・ぬ・の!それでも譲らないってならアンタ鬼、いや…悪魔ね!』


「だぁーッ!うるせぇな!とにかく、これは俺がもらうから、お前は来年まで待て。じゃッ」


互いに強く握りあい、一歩も退かぬその両者の手に収まっている物は、一つの深紅に染まる変わった果実…


『そっか…分かった。私は来年まで待つ…』


「お?なんだ案外聞き分け良いじゃんおま『なんて言うかボケェーーッ!』は?ちょ?!」


『人が丁寧に頼みゃ調子乗りやがってコノヤロー!だいたいテメェ、レディファーストって言葉知らねぇのかよ?!』


「はぁ〜?!何が丁寧だぁ?!だいたいこんな口のワリィ女の何処がレディだってんだよ!」


『あぁ?!何なら私がレディって証拠を今すぐ見せてやろうかバカヤロー!』


良いぞ良いぞ姉ちゃーん!脱げ脱げ〜ッ。


そんな野次飛ぶこの街は、今日も…平和?



最後の一つはどちらの手に



(お前等よくそんな派手に騒げたもんだな)

((ゲェ!海軍!))

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