BOOK

□No.12
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上陸と同時にBB探しへと散らばっていたクルー達が、影を落としゾロゾロと戻ってきた。


その成果は…一目瞭然か。


「船長ォ〜スカッすよ、スカッ!!」


落ち込むクルー達の気持ちと連動するかの様に陽も落ち、辺りが暗くなり始める。


今手に掛けてる新薬の開発に、この島のBBが必要ではあったが…やはり時期が悪かった。


仕方ねぇ…アレ抜きで進めるしかねぇな。


肩を落とすクルーを見やり、俺の気持ちにも区切りがついた所で、ログが貯まったという報告と共に、他と同様BBを探しに出たシャチがまだ戻らねぇ。とペンギンが面倒臭そうにぼやいた。


全く…あいつは毎回何かしら厄介事を連れてくる。


確か島の港に海軍の船が停泊していたな…あの野郎、海軍付きで戻って来やがったら、有無を言わさずバラしてやる。


「ったく…」


だが、あれでも奴はうちの戦闘員だ。捕まるなんて心配は更々ねぇ。


「シャチが戻り次第出航する」


準備をしておけ。それだけ言い残し自室へと戻り、俺は溜まった新聞の束へと手を伸ばした。


ここ数日、薬の研究につき着っきりで部屋に籠っていた為、手にした未読の新聞も、普段のソレより数段厚い。


“パラ…パラ…”


世間を騒がす悪名共は留まる事を知らない。いつの日も、紙面は悲劇的な結末で埋め尽くされている。


「フフッ…」


だがそんなもん、俺にとっては喜劇でしかねぇ。


「…………?」


同業者共の悪行が数多く綴られている紙面を適当に流し読みする中、デカデカと派手に印字された、見慣れぬ見出しが目に留まった。


【新たな億超え誕生!!“首刈り”クロスロード・ミラー】


【遂にその首に1億7千万の賞金が】


【一気に7千4百万UP!!海軍本部ヒョロ大佐の船に何が…】


【本当に首刈りの仕業か?疑問の残る戦闘跡。海軍側生存者0】


…首刈り屋と言えば、戦闘において大きな牙状の武器を用いり、首以外を傷つける事なく…綺麗に素早く刈り落とすという、最近名を上げていた女だった筈だ。


その俊足かつ、無駄の無い殺り方は、相手に死を理解させる暇すら与えないと言われている。


今までも地道に賞金を上げてた奴だが、ここに来て一気に額が跳ね上がった理由は何だ…?


「…………」


俺はそれ等の記事の詳細へと目を通した。


【ヒョロ大佐はグランドラインの夏島、パピヨン島付近の海上で、当時9千6百万の賞金首クロスロード・ミラーと遭遇した為、交戦するという旨の報告を最後に、音信不通となった】


【その後政府は、漂流するヒョロ大佐の船を発見。その船内の状況は悲惨なものだったと語る】


【生存者0の船内を見渡し、現場へ乗り込んだ海兵は違和感を覚えたという。ここから、調査にあたった海兵の証言である】


【“首刈りは今までの戦闘で、首以外を狙う事はなかった。しかし今回、死体の殆どが体中傷だらけ…中には銃殺された者もおり、これは明らかに、クロスロード以外の犯行と思われる】


【しかし船内には、複数名を相手にした跡は全く残っておらず、重複する調査の結果…相手は単独という答えとなった】


【唯一首を切り落とされていたヒョロ大佐の体には、銃撃痕や切り傷の類いは一切無かったが、鎖の様な物で強く縛られた痕が残っていた”】


【現時点で、クロスロード・ミラーが悪魔の実の能力者という報告は無い】


【だが1ヶ月程前から、クロスロード・ミラーの戦闘法が変化した。という証言も挙がっている為、その可能性も視野に入れ、政府は今回賞金額を大幅に上げた模様】


フフッ、コイツも随分派手に暴れてんな。


“バァーンッ!!”


俺が奴の記事を一通り読み終えた頃合いを見計らったかのように、背後の扉が勢いよく開け放たれた…ノックぐらいしろ。
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